しっぽきり

 赤い目の空中要塞がバードス島に帰還する。
 帰還した彼を労うドクター・ヘル。続けてグールの乗り心地を問うと、ブロッケンの答えは簡潔に一言。「それはそれは快適この上なく」
 大空を飛び、機械獣を数十体乗せ、敵を自由自在に攻撃する。その姿空飛ぶ魔城。
 それをもって人々をひれ伏させる。
 意欲をみなぎらせるブロッケンに、ヘルが頷く。

「うむ。その意気やよし。貴様の初陣、まずは報告を聞こう」

 戦闘から一夜明けた熱海。
 警察署に一人取り残され、鳴り止まない電話に昨日起こったことを改めて実感するシロー。
 騒ぎの張本人として牢屋に入れられた甲児。
 十蔵の遺体を前に手を合わせる弓教授。
 そして、マジンガーと機械獣の今後に気を重くするさやか達。
 一方、それはドクター・ヘルも同様でマジンガーZの装甲、内臓された兵器を脅威と感じる。十年ぶりに現れた十蔵が、懸念していた以上の障害になっていたことに怒りが隠せないヘル。
 あしゅら男爵は、熱海周辺に海底要塞サルールで二度目のチャンスを窺う。
 二度の失敗はなかろうと部下への信頼を見せるドクター・ヘルだが、一つ気がかりが消しきれなかった。

 暗黒寺、牢屋で甲児を取り調べ。
 あのときの状況は知っているはずだと訴える甲児。
 自分こそ十蔵に巻き込まれた被害者だと愚痴る暗黒寺に、おじいちゃんこそ被害者だと返す甲児。
 怒りの収まらない甲児に、お前は熱海ごと吹っ飛ばすところだったんだと、拳銃を突きつける暗黒寺。
 あしゅら男爵を殺そうとし、味方のロボットまで巻き込もうとした。
 そして、グロイザーX10。
 甲児は、熱海一帯を吹っ飛ばせるだけの巨大爆弾を呆然と見ているだけだった。ただ呆然と。何もできなかった。何もしようとしなかった。そして、ただこの熱海が吹っ飛ぶのをただ見ていただけだった。

「ちがうか! ちがうのか! ちがうのかよぉ!」
「うるせえ」

 壁を叩く甲児。
 あのとき現れたのは、和服の女。
 戦場と化した街に現れた、場違いな女。
 その女が、更なる戦いの地獄へと導いていくことを甲児はまだ知らない。
 そして、女は空を指差す。促す。

「早く撃つんだよ。光子力ビームをね」
 
 
 熱海に向かう一台の車。
 後部席に乗るのは光子力ビームを撃て、といった女の正体に心当たりのある弓博士。
 車中、運転するさやかに二〇年前のことを語りだす。
 


 二〇年前、現在の光子力研究所のある富士の麓から、ある金属の鉱脈が発見された。大きな手を象った鉱石。
 名をジャパニウム鉱石。
 弓の恩師であった十蔵は、地球上唯一そこだけで採れるその石を研究し、エネルギーを精製する推論を建てる。それが、光子力。
 が、その研究を放り出し、十蔵は突如として姿を消した。十年前に一度、甲児とシロー、二人の孫を連れてもどってきたものの、再び姿を消す。
 そのため、実用化への研究は長い時間を必要とした。
 熱海を研究都市として実験を開始すれば、十蔵は姿をあらわすかもしれない。そして、研究を仕上げられるかもしれない。
 しかし、結果は機械獣の来襲と、十蔵の死。
 目を瞑る。


 ドクター・ヘルも光子力を欲していた。
 その威力は、グロイザーX10が証明した。

 一度落下すれば二度と舞い上がらないはずの、巨大な爆弾。
 空中で爆発させようも、揺るがない、制止不可能な巨体。
 戸惑う甲児達に和服の女が、示したのは武器パネルの左。使っていないスイッチ。
 言われるがままに、甲児がそれを押せば、マジンガーの目から軽々と島を撃ち抜く光線が発せられる。
 その威力を警戒したブロッケンは、マジンガーへの爆撃を開始。
 慌てる甲児に、女は動じず指示を出す。
 腰を据えてしっかり構える。ダイヤルを押さずに回す。エネルギーが高まる。狙いを着ける。
 メーターが青に、黄緑に、黄色にオレンジに。

「まだまだ」

 赤。

「よおし、撃て」
「光子力ビームッ」

 闇夜に二本の光が一直線に伸びていく。
 持ち上がっていくグロイザーX10の巨体。
 剥がれていく装甲。回避を命ずるが間に合わない。

「お爺ちゃんの仇ッ!」

 そして、一際強い光が夜空で弾けた。
 ドクター・ヘルは、光子力の力と、甲児に指示を与えた女の存在を気にかける。


「ようこそいらっしゃいました。くろがね屋女将、錦織つばさでございます」

 その正体は、甲児にも分からない。
 女将は、指示を出したことは認めつつも、常連だった十蔵から研究の成果を聞いていたと弓達に語る。
 

 そして、警察が動く。
 行方不明になったパイルダーの捜索に。
 甲児にもつばさにも分からない。
 暗黒寺がその指示を出したことを知り、おかしそうに笑うつばめは、一暴れと先生達を引き連れて、動き出す。
 そして、ヘルはつばめの正体に気付き、あしゅらに退くように命令を出す。
 
「その女こそは、我等の仇敵、我等の宿敵、我等の怨敵。
 バードス島と共にワシを一度殺した女よ!」

 
 十数年前の冬。
 十蔵の元を、生物学の権威ドクター・ヘルが訪れた。
 一人の女を伴って。



 最後は次回予告の部分なんですが、どうも留学時代に知り合ったというわけではなく、十蔵が光子力の研究をしだすまでは、顔を合わせたことが無いっぽいみたいです。
 












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