話数カウント間違ってました。
一本目 イターシャちゃんがやられる直前に、ゆったりとした口調で喋る姫キャラ、ゴ・スローリーが「なんで~わたぁしぃだけぇ~」と活躍できずにやられる劇場版お約束のシーンを演じたのは秘密です。
二本目 そして、本編へ。
霧に包まれた世界に響く三つの声。
一つは、悲鳴。
一つは、絶叫。
そして、嬌声。
ドーターの攻撃を受け、顔を赤く染め、地面に力なく倒れ伏す、薫さんを揺さぶりたくなる衝動を必死に抑えながら抱きしめ、彼女の意識へ大声で訴えかける皆本さん。
「あはははは……!! きれいよ、薫ちゃん! あなたには赤がよく似合うわね……!!」
二人を笑いながら、仮面の少女は、次の罰ゲームへの思案をしながら去っていきました。
しかし、皆本さんに、彼女を意識に止めている暇はありません。
「息はある!!
紫穂!!
見てやってくれ!!」
いつもならば、誰よりも早く、そしてたしかに皆本さんの望む行動を察してくれる、冷静な紫穂さんはいませんでした。
「紫穂!?」
「や……やだよ薫ちゃん――いやあああーっ!」
そこにいたのは、赤く染まった親友以上の存在が迎えるであろう最悪の近未来を想像し、震える一二歳の少女。
叫ぶ紫穂さんに、皆本さんが向けたのは、保護すべき者への慰めではなく、チームの仲間への叱咤でした。
「紫穂!!
今すぐ君の力が必要なんだ!! しっかりしてくれ!! 君は最強のサイコメトラーだろう1?」
自分が信頼されていること、必要とされていることに、切れる寸前だった気持ちを、なんとか繋げたのか、泣き止む紫穂さん。その紫穂さんの腕を掴むと、皆本さんは、手早くこれからの指示を出しました。
「発光弾でヘリを呼ぶ! 葵が病院へ搬送する前に応急処置をしておかなければ!!」
紫穂さんに、透視を求めると、恐々とながらも、薫さんの惨状に目を逸らさず少女は、頭に手を伸ばしました。
「薫ちゃ――ん?」
そこで、紫穂さんの動きが止まりました。代わりに薫さんの瞼が動きました。
「あーびっくりした!」
そう言って体を起こす薫さんに釣られて、皆本さんもビックリ。
瀕死のはずにしては、薫さんの声は元気。言葉の中身も、弱気ではなくドーターさんへの怒りと強気。
純粋に喜ぶ紫穂さん、あまりの事態に引く皆本さんの様子に、事態が急変したのか危惧する薫さん。
「何? どしたの!? 何かヤバいことになった!?」
主に、薫さんが頭から血を流していることが、ヤバいことでしたが、本人には自覚はありません。
事態が飲み込めず困惑の皆本さんに、再び透視を行った紫穂さんが種明かし。
「これ……ケガじゃない。幻よ……」
ショックを与えただけで、ヘルメットも破壊されていないし、当然その下にある頭からの出血は無し。ケガは、落下時の打撲程度。
つまるところは、催眠による幻覚が二人を混乱に陥れていたのです。
「うあっ!? なんじゃこりゃーっ!!」
そして、流れる血にようやく気付き驚いた薫さんを、皆本さんが抱きしめました。
「よかった……!! びっくりさせやがって!!」
血以外の理由で、薫さんが真っ赤になりました。
興奮と混乱の中で薫さんがとった行動は、念動力での引き剥がし。照れ隠しに、皆本さんを言葉責めでツンデレていると、再びふわりと腕が薫さんを包みました。
「私も……びっくりしたよ……」
その純粋な言葉に、微笑み謝る薫さん。
紫穂さんも微笑んで、薫さんを離して、今度も純粋な言葉を口にしました。
「許さない、あの女……絶対に」
今度は、純粋な殺意を。
その口調に怯える二人に、紫穂さんは語りました。
あの女は心が歪んでいる。
つっこんだら負けって遊びカナ? とも二人は思いましたが、とりあえず「これまで戦ったエスパー」と注釈がついていたので、間違ってはいません。しかし、紫穂さんの説明を聞いているうちに、二人も仮面に隠された心が本当に歪んでいることを知りました。
血塗れの薫さんを見て、心から楽しんでた。幻覚の攻撃も、手加減からではなく、何度ももてあそんで、楽しい玩具をすぐに壊さないため。
唾を飲む二人に、紫穂さんは言いました。
「今すぐヘリを要請して、ここを離れましょう!」
心情的にはうなずきたいところですが、それでは花粉を止めることができない。苦渋の表情を見せる皆本さんに、紫穂さんは続けます。
「そして燃料気化爆弾でこのあたり一帯を焼き払うの。あの邪悪な女、骨も残さず灰にしてやって!
ね!」
そう、かわいくおねだりする紫穂さんの、広範囲・長時間に渡る燃料気化爆弾の爆風を思い浮かべ恍惚とする表情に、皆本さんは思いました。
こいつも心が歪んでる。
前回の密林でのパンドラとの戦闘で森を焼き払っていたことを思いだし、自分の教育方針のどこかに間違いがあったんじゃないかと悩みながらも、皆本さんは、非人道兵器はNG。女の子が許されるのは、デリンジャーまでと紫穂さんを止めますが、現代の歪みが生み出した少女は止まりません。
「核でもいいわよ」
「もっとダメだろ!! てか、この国にそんなもんねーよ!!」
じゃあ陽子爆弾と、紫穂さんが要請しようとしたところで、薫さんが自分なら大丈夫と二人を落ち着かせようとしました。
「幻覚なんかどってことないよ! 次へいこう!! あのコをとめなきゃ!!」
気丈にそう言う薫さんでしたが、たとえ幻覚とはいえ頭部から出血しているという認識は、心をむしばみ、そして、心が弱れば体も弱ってしまうもの。
そもそも、幻覚ではなく現実でも落下による打撲もあることを考えれば、これ以上相手のルールでゲームにつき合っているわけにもいきません。
最悪、花粉さえ抑えられればいい。
その為の方法を思案する皆本さん。
核攻撃、もしくは反応弾と主張する紫穂さん。
そんな強引な手段は当然ながら認められない皆本さんは、紫穂さんをしかりますが、その瞬間、ひらめきました。
もうひとつ手がある!
『いったんヘリに戻るぞ! 浮上してくれ薫! こんな「遊び」はお断りだ』
霧が伝えた対戦相手の言葉は信じられないものでした。
「どういうこと!? まだゲームは……」
彼らの状況が不利であること、自分が優位にあることはドーターさんも知っていましたが、彼らには退却してしまえば大規模なサイバーテロを防げないという条件を与えているのです。自分を倒すまでは、逃げられるはずはありません。
「行かないわよね、薫ちゃん!?」
しかし、ドーターさんは忘れていました。このゲームのルールは自分一人で決めたもの。相手が抜け道を探し出したところで、それを止める第三者はいないのです。
『どーするの?』
『それは後で話す』
続けて聞こえたのは、皆本さんの考えを良案だとほめる紫穂さんの声。
彼女のことですから、信頼はできませんが、しかしその声に嘘をついている響きはありません。
『この霧の外に出てから説明する』
皆本さんは、会話が聞かれる可能性を考えて、作戦を語りませんでした。
それが、ドーターさんの不安と怒りをあおりました。
側の人形の襟首をつかみ、ドーターさんは叫びました。
「とめなさい!! 今すぐに!!」
霧の中から飛び出した発光信号の色は、黄色でした。
回収の要請。霧がおさまる気配がないこと、予定時間よりだいぶ早いことを考え宇土、敵本体は発見できていないらしいという認識が、ヘリコプターのなかのエスパー達に植え付けられました。
何かあったにちがいない。
それなら、急ぐ必要があります。不二子さんの指示に外に飛び出す葵さん、そしてライフルという名のデバイスを構えるバレットさん、特にやることはないけど、一緒にいることが大事なんだ主張するティムさん、本当にやることがないので二人のテンションに呆れてみる賢木先生。
「みんなどないしたん!? 無事か!?」
あっと言う間に、三人の元に駆けつけた葵さんは、しかし驚愕しました。
理由はもちろん薫さんの怪我。
しかし、その一瞬が命取りでした。
実体のない巨大な手が皆本さんを捕らえたのです。
霧に引き込まれていく皆本さんの姿に蒼白となる薫さん。
助けなきゃ!
紫穂さんを葵さんに任せ、駆けつけようとする薫さんです。
皆本さんさえ確保していれば、薫さんは自分と遊び続けてくれる。
ドーターさんが、ゲームのコンティニューを確信しました。
しかし、皆本さんの発したのは「来るな!!」という制止の言葉。
そして、それが、薫さんの皆本さんを助けようという直線的な意志に届いていないことを悟ると、皆本さんは、
バシュッ
花粉を防いでいた、ヘルメットを外しました。
予想もしなかった皆本さんの行動に、愕然とする薫さん。
彼女の意志が、自分の言葉が追いつくまで減速したと確認した皆本さんは、自分が大丈夫であること、任務を遂行し続けること、そして、薫さんを信頼していることを伝えました。
そして、皆本さんの姿と、薫さんの絶叫が霧に吸い込まれていきました。
二本目 そして、本編へ。
霧に包まれた世界に響く三つの声。
一つは、悲鳴。
一つは、絶叫。
そして、嬌声。
ドーターの攻撃を受け、顔を赤く染め、地面に力なく倒れ伏す、薫さんを揺さぶりたくなる衝動を必死に抑えながら抱きしめ、彼女の意識へ大声で訴えかける皆本さん。
「あはははは……!! きれいよ、薫ちゃん! あなたには赤がよく似合うわね……!!」
二人を笑いながら、仮面の少女は、次の罰ゲームへの思案をしながら去っていきました。
しかし、皆本さんに、彼女を意識に止めている暇はありません。
「息はある!!
紫穂!!
見てやってくれ!!」
いつもならば、誰よりも早く、そしてたしかに皆本さんの望む行動を察してくれる、冷静な紫穂さんはいませんでした。
「紫穂!?」
「や……やだよ薫ちゃん――いやあああーっ!」
そこにいたのは、赤く染まった親友以上の存在が迎えるであろう最悪の近未来を想像し、震える一二歳の少女。
叫ぶ紫穂さんに、皆本さんが向けたのは、保護すべき者への慰めではなく、チームの仲間への叱咤でした。
「紫穂!!
今すぐ君の力が必要なんだ!! しっかりしてくれ!! 君は最強のサイコメトラーだろう1?」
自分が信頼されていること、必要とされていることに、切れる寸前だった気持ちを、なんとか繋げたのか、泣き止む紫穂さん。その紫穂さんの腕を掴むと、皆本さんは、手早くこれからの指示を出しました。
「発光弾でヘリを呼ぶ! 葵が病院へ搬送する前に応急処置をしておかなければ!!」
紫穂さんに、透視を求めると、恐々とながらも、薫さんの惨状に目を逸らさず少女は、頭に手を伸ばしました。
「薫ちゃ――ん?」
そこで、紫穂さんの動きが止まりました。代わりに薫さんの瞼が動きました。
「あーびっくりした!」
そう言って体を起こす薫さんに釣られて、皆本さんもビックリ。
瀕死のはずにしては、薫さんの声は元気。言葉の中身も、弱気ではなくドーターさんへの怒りと強気。
純粋に喜ぶ紫穂さん、あまりの事態に引く皆本さんの様子に、事態が急変したのか危惧する薫さん。
「何? どしたの!? 何かヤバいことになった!?」
主に、薫さんが頭から血を流していることが、ヤバいことでしたが、本人には自覚はありません。
事態が飲み込めず困惑の皆本さんに、再び透視を行った紫穂さんが種明かし。
「これ……ケガじゃない。幻よ……」
ショックを与えただけで、ヘルメットも破壊されていないし、当然その下にある頭からの出血は無し。ケガは、落下時の打撲程度。
つまるところは、催眠による幻覚が二人を混乱に陥れていたのです。
「うあっ!? なんじゃこりゃーっ!!」
そして、流れる血にようやく気付き驚いた薫さんを、皆本さんが抱きしめました。
「よかった……!! びっくりさせやがって!!」
血以外の理由で、薫さんが真っ赤になりました。
興奮と混乱の中で薫さんがとった行動は、念動力での引き剥がし。照れ隠しに、皆本さんを言葉責めでツンデレていると、再びふわりと腕が薫さんを包みました。
「私も……びっくりしたよ……」
その純粋な言葉に、微笑み謝る薫さん。
紫穂さんも微笑んで、薫さんを離して、今度も純粋な言葉を口にしました。
「許さない、あの女……絶対に」
今度は、純粋な殺意を。
その口調に怯える二人に、紫穂さんは語りました。
あの女は心が歪んでいる。
つっこんだら負けって遊びカナ? とも二人は思いましたが、とりあえず「これまで戦ったエスパー」と注釈がついていたので、間違ってはいません。しかし、紫穂さんの説明を聞いているうちに、二人も仮面に隠された心が本当に歪んでいることを知りました。
血塗れの薫さんを見て、心から楽しんでた。幻覚の攻撃も、手加減からではなく、何度ももてあそんで、楽しい玩具をすぐに壊さないため。
唾を飲む二人に、紫穂さんは言いました。
「今すぐヘリを要請して、ここを離れましょう!」
心情的にはうなずきたいところですが、それでは花粉を止めることができない。苦渋の表情を見せる皆本さんに、紫穂さんは続けます。
「そして燃料気化爆弾でこのあたり一帯を焼き払うの。あの邪悪な女、骨も残さず灰にしてやって!
ね!」
そう、かわいくおねだりする紫穂さんの、広範囲・長時間に渡る燃料気化爆弾の爆風を思い浮かべ恍惚とする表情に、皆本さんは思いました。
こいつも心が歪んでる。
前回の密林でのパンドラとの戦闘で森を焼き払っていたことを思いだし、自分の教育方針のどこかに間違いがあったんじゃないかと悩みながらも、皆本さんは、非人道兵器はNG。女の子が許されるのは、デリンジャーまでと紫穂さんを止めますが、現代の歪みが生み出した少女は止まりません。
「核でもいいわよ」
「もっとダメだろ!! てか、この国にそんなもんねーよ!!」
じゃあ陽子爆弾と、紫穂さんが要請しようとしたところで、薫さんが自分なら大丈夫と二人を落ち着かせようとしました。
「幻覚なんかどってことないよ! 次へいこう!! あのコをとめなきゃ!!」
気丈にそう言う薫さんでしたが、たとえ幻覚とはいえ頭部から出血しているという認識は、心をむしばみ、そして、心が弱れば体も弱ってしまうもの。
そもそも、幻覚ではなく現実でも落下による打撲もあることを考えれば、これ以上相手のルールでゲームにつき合っているわけにもいきません。
最悪、花粉さえ抑えられればいい。
その為の方法を思案する皆本さん。
核攻撃、もしくは反応弾と主張する紫穂さん。
そんな強引な手段は当然ながら認められない皆本さんは、紫穂さんをしかりますが、その瞬間、ひらめきました。
もうひとつ手がある!
『いったんヘリに戻るぞ! 浮上してくれ薫! こんな「遊び」はお断りだ』
霧が伝えた対戦相手の言葉は信じられないものでした。
「どういうこと!? まだゲームは……」
彼らの状況が不利であること、自分が優位にあることはドーターさんも知っていましたが、彼らには退却してしまえば大規模なサイバーテロを防げないという条件を与えているのです。自分を倒すまでは、逃げられるはずはありません。
「行かないわよね、薫ちゃん!?」
しかし、ドーターさんは忘れていました。このゲームのルールは自分一人で決めたもの。相手が抜け道を探し出したところで、それを止める第三者はいないのです。
『どーするの?』
『それは後で話す』
続けて聞こえたのは、皆本さんの考えを良案だとほめる紫穂さんの声。
彼女のことですから、信頼はできませんが、しかしその声に嘘をついている響きはありません。
『この霧の外に出てから説明する』
皆本さんは、会話が聞かれる可能性を考えて、作戦を語りませんでした。
それが、ドーターさんの不安と怒りをあおりました。
側の人形の襟首をつかみ、ドーターさんは叫びました。
「とめなさい!! 今すぐに!!」
霧の中から飛び出した発光信号の色は、黄色でした。
回収の要請。霧がおさまる気配がないこと、予定時間よりだいぶ早いことを考え宇土、敵本体は発見できていないらしいという認識が、ヘリコプターのなかのエスパー達に植え付けられました。
何かあったにちがいない。
それなら、急ぐ必要があります。不二子さんの指示に外に飛び出す葵さん、そしてライフルという名のデバイスを構えるバレットさん、特にやることはないけど、一緒にいることが大事なんだ主張するティムさん、本当にやることがないので二人のテンションに呆れてみる賢木先生。
「みんなどないしたん!? 無事か!?」
あっと言う間に、三人の元に駆けつけた葵さんは、しかし驚愕しました。
理由はもちろん薫さんの怪我。
しかし、その一瞬が命取りでした。
実体のない巨大な手が皆本さんを捕らえたのです。
霧に引き込まれていく皆本さんの姿に蒼白となる薫さん。
助けなきゃ!
紫穂さんを葵さんに任せ、駆けつけようとする薫さんです。
皆本さんさえ確保していれば、薫さんは自分と遊び続けてくれる。
ドーターさんが、ゲームのコンティニューを確信しました。
しかし、皆本さんの発したのは「来るな!!」という制止の言葉。
そして、それが、薫さんの皆本さんを助けようという直線的な意志に届いていないことを悟ると、皆本さんは、
バシュッ
花粉を防いでいた、ヘルメットを外しました。
予想もしなかった皆本さんの行動に、愕然とする薫さん。
彼女の意志が、自分の言葉が追いつくまで減速したと確認した皆本さんは、自分が大丈夫であること、任務を遂行し続けること、そして、薫さんを信頼していることを伝えました。
そして、皆本さんの姿と、薫さんの絶叫が霧に吸い込まれていきました。
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