しっぽきり

 たしか劉備のかわりに敵が多そうなほうの山道を通ってたら、伏兵に射殺されたとかそんな死に方だったような。
一本目 いま女子大生(最低でも一八、タイミングによっては一九歳)のナオミさんが一二歳。時期特定できないとはいえ、バベル入ってそうということは、二二か二三歳以上。後者後者で考えると朧さんじゅっさい?
二本目 お礼にプリン作りのコツを教えたりしたのカナ?


 兵部少佐の「家こない?」というお誘いに、皆本さんへのモヤモヤにのることにした薫さん。お年頃わけで、身支度に余念がありません。
 ようやく出てきた薫さんに、彼氏的な発言をする澪さん。本を読んでいた兵部少佐と、手持ち無沙汰にソファーに寄りかかっていたカズラさんも、それを合図に出発することになりました。


 一方、そのころ。
 見合い中の皆本さんはどこか腰の落ち着かない様子でした。
 葵さん、紫穂さんが情報収集と称して、盗聴まがいのことをしていたのもその一因でしたが、それだけではありません。

「ねえコーちゃん。子供のころ菜々子ちゃんとは仲良かったの?」

 生返事ばかりで、喋らない皆本さんに助け舟を出してくれるつもりなのか、お母さんが尋ねます。
 急に話を振られて皆本さんがやや口ごもっていると、ここでも助け舟。菜々子さんが、昔を懐かしむように言いました。

「ええ、まあ……皆本クンは優しいから話しやすかったっていうか……
 色々相談にのってもらってました」

 そんな菜々子さんの記憶と、皆本さんの記憶には若干の違いがあったらしく、皆本さん曰く「いじめられてた」、菜々子さん曰く「好きだったからいじめたくなった」、お母さん的には「いじめたくなるタイプ」と、小学生時代の認識の差でワイワイキャイキャイ。
 とりあえずの盛り上がりを見せるお見合いでしたが、見合いセッティング歴四〇年の大ベテラン・槍手さんは、その盛り上がりによって隠された妙な空気を、自分の幽波紋、母親を押し切るのには抜群のパワーを発揮するものの、最終的に結婚に結びつける仕上げの精度には時折不安も見られる「テントウムシのサンバ」の七つの黒い紋様で察知していました。しかし、その正体までは掴みきれません。
 このままではまずい、一人悩む槍手さんをよそに、皆本さんのお母さんが口を開きました。
  
「この子……自分にウソついて我慢するの得意なのよ。
 ヘタに頭いいもんだから、いい子を演じてるうちに、時々自分の本音が分からなくなっちゃうのよね」

 最後のほうは、皆本さんの瞳を見据えて。
 そんな母子の会話に、ますます流れが悪化していることを感じる槍手さん。
 消えればそれに越したことはない、消えなくとも原因が何かはっきりするかもしれない。この悪い流れに任せていては、まとまる見合いもまとまらない。
 とにかく流れを変えるっ! そう決めた槍手さんは、散歩を提案するために立ちあがりました。
 が、それとほぼ同時、テーブルに置かれた紅茶の水面がスプーンで弾かれました。勢い良く発射された水滴がぶつかったのは、注文の品を運ぼうと通りかかったウェイターの顔。突然のことによろめくウェイター、そして、ウェイターが運ぼうとしていたポットやらコップやらが倒れました、槍手さんめがけて。
 ずぶ濡れになった槍手さんは、見ました。
 スプーンを持って微笑む皆本さんのお母さんの顔を。
 そして、自分の上を行く策士の顔を。
 その笑顔で、勝負付けが済んだことを槍手さんに告げ、策士の顔を母親の顔に変えた、皆本さんのお母さんは、皆本さんの背中をこう押しました。

「何か知らないけど、気になることがあるなら先に片付けていきなさい。でないと、菜々子さんにも失礼よ」
「母さん……!!」

 一泊の間の後、皆本さんは菜々子さんに断りを入れて、立ちました。そして、チルドレンの指揮官用としてカスタマーされた携帯電話を取り出しました。

「緊急チャンネルオープン! C-01非常コール」



 薫さんは一瞬、思わず息を飲みました。通信機も兼ねたリミッターが鳴ったからです。
 通信機を鳴らしたのは当然身内。自分は、兵部少佐の誘いにホイホイと釣られて、敵地視察へ向かう途中。兵部少佐をあまり快く思っていない葵さんや紫穂さんにバレたらまずい状況。葵さんや紫穂さんから事情を聞いた、二人の比じゃなく兵部少佐を快く思っていない皆本さんにバレたら、なおまずい。
 通信機から聞こえるのは皆本さんの声。最悪のケースです。
 なんとか、取り成し、「何も問題はないから見合い頑張ってね」に持ち込もうとする薫さんでしたが、皆本さんは薫さんの返事を必要としていませんでした。というよりは、予定を伝えようとしただけでした。

『すぐそっちに行く! 出かける用意をしててくれ!』

 えらいこっちゃ。
 とりあえず、兵部少佐等に別れの挨拶を投げつけて薫さんは、家に戻るのでした。




 あ……ありのまま今起こった事を話すぜ!
 『私は今幼馴染と見合いしていたと思ったら突然相手が中学生女子を呼び出していなくなり、日焼けした男と黒そうな女子を押し付けていなくなった』
 な……何を言ってるのかわからねーと思うが、私も何をされたのかわからなかった……。
 やんわりお断りとか知り合いから頼まれて断りきれなかっただとかそんなチャチなもんじゃ断じてない。

 


 賢木先生に菜々子さんのお相手を頼み、母親譲りの才覚か紫穂さんに何か策を託した後、葵さんと共に自宅へ戻ってきた皆本さん。
 するとそこには、薫さんが一人雑誌を読んでいました。
 部屋の雰囲気というか、空気にどことなく違和感を持った皆本さんでしたが、今は何よりも優先することがあります。

「おいで、薫」

 薫さんは、皆本さんの言葉に、驚いたのか、照れたのか、それとも拗ねていたのか、顔を俯かせ断ろうとしました。

「うちの両親と犬に、まだ会わせてなかったろ」

 皆本さんは、自分の目的と、その本心を話します。

「いや、そのつまり――アテが外れてアセったよ。放っといても三人でジャマしに来ると思ってたんだ」
「……うん」

 皆本さんが本心と共に差し出した手を、薫さんは取りました。



 そんな一部始終を見ていた三人。
 タイミングよく現れた皆本さんの勘のよさに驚くカズラさん。中身はおばはんと、色々お世話された経験から語る澪さん。振り上げた拳を下ろすところがなくなってしまった兵部少佐。

「あいかわらず中途ハンパな野郎だ。まったく進歩してない。
 勘がいいんだか悪いんだか――」

 複雑な感情を押し殺すように、そう言いかけてあることを思いつきました。
 パーティは人数が多いほうが楽しい。
 兵部少佐は腹心である真木さんに、人を集めるように連絡を取るのでした。



 所戻ってお見合い会場の茂みの中。
 空を見ればバラバラとプロペラ音を鳴らして飛ぶバベル印のヘリコプター。大地を見れば、迷彩服姿でせて潰れる不二子さんの乳。
 皆本さん見合いとの一報を受けて駆けつけた不二子さんは、「こんな面白いこと」とノリノリ。そんな不二子さんの右手には気付かれては仕損じると慎重な局長。左手には「自分は人のお見合いを監視してる場合なのか?」とふと素に戻ってしまった朧さん。局長を挟んでさらに右手には、南米でノーマルを相手に戦ってきたのに、帰国した途端、仕事が敵のお見合いになったことが不満でたまらない真木さん、面白そうと葉さん、入れ替え戦のコマを失ってたまるかとパティさん、そして図らずもパティさんと根っ子はともかくとして同じ目的でやってきたマッスル大鎌さん、他パンドラの精鋭がそろい、そして、正面には、、流れを知ることはできても流れを作り出したことのない紫穂さんでは感知しきれない殺気を見破る年長者二人、そして、なんとなく見合い的な会話を交わし始めた賢木先生、菜々子さん。
 こうした布陣で来週に続くのでした。
 

>孔明に並ぶ軍師とか言われてた鳳統
 徐庶が孔明を紹介するだけの存在に終わってたり、正史に記されている軍師としての実績が孔明よりも遥かに高いはずの法正がどっかの虎のようにかなり影薄くされていたりと言うのを見ていると、演義の方はどうしても孔明主役にしたいんだなぁ、と思ってしまいますこんばんわ。

>入れ替え戦
 仙台としては残念でしたね(脱線)。
 いや、その入れ替え戦ではないのは承知していますが。
 さて(笑)。
 ブースターの性能と素地となっていた超度の差からか、バベル側の元『黒い幽霊』のコンビに比べて洗脳からの復帰が遅れていたはずのパティが、結果的にはむしろ早い復帰を果たしている辺りから見るに、黒巻流の再洗脳術の威力は恐るべきものがあると思われます。
 もしバレットとティムが黒巻流の再洗脳を受けていたら、と思うと…………ごめんなさい。怖い考えにしかなりませんでした|||orzアイタガチホモ|||

2008.12.13 22:47 URL | すがたけ #YrGnQh/o [ 編集 ]

>演義

 どうしても蜀視点、劉備→孔明になりがちですからねえ。しょうがないといえば、しょうがないのかも。世の中に流布している三国志ものも、孔明死亡で終わっちゃうものばっかりですし。

>入れ替え戦

 あはははヽ(。∀゚)ノ
 エスパー技術に関してはパンドラが進んでるのかもしれませんね。あるいは、どこかの国と絡んで技術提供を受けているのかも。
 強気でムチャしがちなティム、それを守る寡黙なバレット。
 下地が、揃ってるのカナ? カナ?

2008.12.14 00:04 URL | 美尾 #9ayR5QDw [ 編集 ]













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