しっぽきり

 シラヌイを使って携帯電話を強奪、それが泉さんのヒキコモリの遠因になってしまったことを菓子折りを持って謝罪しに行ったら(持っていないところを見ると、道中に責任を持って美味しくいただいたみたいです)何故かインスタントメイドのパンチラをゲットしたハヤテ君は、その自らのパンチラをつまらないものと謙遜するインスタントメイド泉さんに、なぜメイド服を着ているのか尋ねていました。
 短いような長いような話とどこか話しづらそうな泉さんに、助け舟を出す影が。
 ハヤテ君を愛する執事、虎鉄さんでした。
 そう、虎鉄さんは泉さんの執事。ハヤテ君がナギお嬢さまのことを熟知しているように、泉さんのことなら熟知しています。
 虎鉄さんは語りました。三時のおやつを食べられると喜ぶ。カレーライスにニンジンを多く盛ってやると喜ぶ。ピーマンの肉詰めをわざわざ肉を穿り出してから「ピーマンきらい」と涙しながら美味しそうに食べる。白い服を着てるときは必ずカレーうどんを頼む。人間失格ごっこをやるときは、すすんでソラマメをゆでる役を引き受ける。
 そんな数ある変わった性癖の一つにミニスカメイド服を着ることも含まれていると言うのです。
 嬉しそうに笑いながら怒る竹中メイドさんは、ハヤテ君の手を取ってその場を走り去ってしまいました。



 一方、美希さんと理沙さんは二人を探すのもなんだかダルイので、お茶を出してくれそうな本物のメイドさんか誰かを探していました。ですが、会ったのはメイドさんではなく立派なカイゼル髭。ミスター三万でもまだ高いこと、泉・父。
 世界に冠たる電機メーカーのトップが家にいるとはまた珍しいことですが、なんでも子供と家にいるのもいいものだとか。
 時にはマイホームパパに戻りたい日系イギリス人の瀬川ストリンガーさんの自慢は可愛い子供たちと、カイゼル髭。朝二時間以上をかけてセットしている髭は、野心と向上心の象徴。変なリモコンになんて負けないぞ! タッチペンになんて負けないぞ!
 が、プレジデント読者を感嘆させてやまないストロンガーさんの言葉も、女子高生の二人には、いささか暑苦しいありがたみが薄かったようで、理沙さんにいたってはめんどくさい呼ばわり。カイゼル髭の由来と、できるビジネスマンはちょっとした時間を無駄にしないという教訓を語り出そうとしたシュレディンガーさんの言葉を遮り、泉さんの行方を尋ねます。
 シュトルハイムさんの言うところでは、世界一の技術を使って作られ屋敷中に設置された監視カメラの映像を一手に集めるオペレーティングルームに行けばあっさり分かるとか。
 監視カメラという言葉に若干引く美希さんと理沙さんですが、監視カメラにはまだ若い二人には分からない親心が込められていました。
 シュマイケルさんは心配だったのです。
 泉さんは日に日にかわいくなっていきます。しかも年頃、女子高生です。そんな花のように可憐な泉さんに悪い虫が寄って来ないか、心配で心配でたまらないのです。
 もしも、ゴミのような男が泉さんに寄って来たら、世界に残存する全てのAIBO軍団を送り込みこの世から消滅させる。それぐらいに、シューマッハさんは泉さんを愛していました。



 その頃、世界中のナオンは自分のものと言って憚らない、と身近な女性に見られているゴミクズのようなはハヤテ君は泉さんの部屋にいました。
 泉さんの部屋には、ハルさん大喜びなぬいぐるみがたくさんありました。
 ウサギ・カメ・像・コモドドラゴン・パンダ、――数々のぬいぐるみは、泉さんが小さな頃から買っては集め、集めては捨てられずに、泉さんが楽しいときも、辛いから楽しいときも一緒の時間を過ごしてきたぬいぐるみ達でした。
 ボロボロになってもかわいそうで捨てられないと笑う泉さんを、ハヤテ君が「だが、それがいい」と誉めようと振り向いたその瞬間でした。
 ハヤテ君の瞳に映ったのは泉さんの白いうなじと、少しだけはだけたメイド服、そしてブラジャーの肩紐でした。
 そう。ゴミクズは衣擦れの音を聞き逃していませんでした。そしてもしかすると泉さんは、ハヤテ君なら衣擦れの振り向くと察していたのかもしれません。
 とにかく、ハヤテ君は眼福を、そして泉さんは羞恥心を手にいれることが出来ました。
 
 一瞬の喜びのあと、衣擦れの音だけが響く沈黙の中でハヤテ君は、胸に死の予感を抱き始めていました。
 思えば西沢さんともヒナギクさんともふたりきりの時間を過ごしたことがあります。ですが、そのときに感じたのは、気恥ずかしさでした。ですが、泉さんの部屋で過ごすこの時間には、死の匂いがするのです。
 ――そういえば、ヒナギクさんのときは本当に家で二人きり、西沢さんのときも家族構成を知っていた。だけど、僕は瀬川さんの家族構成を知らない……。
 そこまで考えたとき、泉さんが沈黙を破りたいのか、喋り出しました。
 男の子と部屋にいると緊張する。男の子を部屋に入れるのは始めて。
 泉さんの言葉にハヤテ君は違和感を覚えました。あの変態がいるのに。聞いてみると、泉さんは愉快そうに笑い始め、そして言いました。

「虎鉄君の本名は、瀬川虎鉄」

 一瞬、混乱し、ハヤテ君はなんとか質問を搾り出しました。

「あの変態は執事じゃ?」
 
 驚くハヤテ君を、珍しくいじめるような表情で眺めつつ、泉さんは答えます。
 執事は元々貴族の長男しかなれない高貴な仕事。虎鉄君は、そのために執事の修行をしている泉さんの双子のお兄ちゃんだと言うのです。
 ハヤテ君の混乱を新たな衝撃の爆風が吹き飛ばしました。そして、驚きのあまり振り向いてしまいました。
 そして、再び見ました。
 泉さんの着替えを。

 追い出されたハヤテ君は、ため息をつきました。まさか、そんなことになっているとは思いませんでした。
 ――瀬川さんの兄はあの変態。しかも双子。つまり、瀬川さんは生まれて以来、辱めを受ける罰ゲームを受けてきたようなもの。その罰ゲームを受け入れ生きるために、彼女はいじめられるのを好きと思いこむことで耐えてきた。それがいつのまにか、自分の性癖になってしまったに違いない。
 泉さんの笑顔の裏側にはそんな秘密が隠されていたことに気付き、ハヤテ君は神様を呪いました。
 ――なんて……なんてことだ、あんまりだ……。あの変態が一人で瀬川さんをMに仕上げたンだ。いじめられるの大好きっ子にしちまったんだ!! 畜生!!
 打ちのめされうなだれるハヤテ君を誰かが優しく抱きしめてきました。

「……綾崎、自分の本能をまっすぐ見ろ。この世界はそういう場所で――それが一番だ。オレの部屋に行くしかないんだよ、綾崎」

 とりあえずハヤテ君は、その誰かを窓から蹴り落とし、着替えが終わったからと呼びに来た泉さんのあとに従い、まあ、それならそれでそういう攻略をすればいいのかと、あっさり思いなおしていました。



 シュナイダーさんはその一部始終を見ていました。
 自分の息子をこともあろうに蹴落とし、そして泉さんの部屋に入っていったゴミクズのことを。
 そして、美希さんと理沙さんに、男の正体を聞きました。
 美希さんは嘘をつきませんでした。
 ――子供が愛している男。泉が好きな男。
 虎鉄さんの性癖は、スナイデルさんの精神世界の埒外にありました。あまり酷い迷惑をかけない程度に交際して、しかるべき年齢で、しかるべき女性を連れてきてくれればそれでいい、虎鉄さんは男の子でしたし、その程度の認識でいました。実際は、酷い迷惑をかけてもいましたし、しかるべき女性を釣れてくる可能性も皆無に近い状態でしたが、虎鉄さんが前科一犯になったときも、スナフキンさんは海外出張中で、周りの人間も余計な心配をかけまいと耳に入れなかったために、虎鉄さんの変態性をスベンソンさんは気付くことはできず、愛している男とくれば泉さんが浮かんでしまうのも、そして、怒りのあまりに駆け出してしまうのも無理の無いことでした。
 駆け出すシュバルツさんを見送りつつ、二人は自分達が嘘吐きではないことを確認しつつ、また三千院邸では、二人がアリバイ出演をなしとげていました。
 
 












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