しっぽきり

 明けない夜は無く、登るのをサボる太陽もまたありません。
 不幸な一日にサヨナラを告げたぼくらの借金執事・ハヤテ君は今日は頑張ろうと気持ちも新たに身支度を整えます。
 おはようございますと挨拶してきたのはメイドさん。が、マリアさんではありません。マリアさんとは違うメイド服でメガネをかけた、マリアさんより若干年上のメイドさん。人によっては年下に見えるかもしれませんが、それはきっと心がけが悪いからです。いえ、ひょっとするとこのメイドさんが、マリアさんの年齢を少しでも上に見せようと企んでいるから――そんなことはありませんね。ははは。

 そんなわけで、マリアさんの年齢を上に上げようと企んでいるかもしれない、縁無しのシュッとしたメガネをかけたメイドさんは、今日は洗濯日和の良い天気と指摘することで自分の有能さを示し、かつハヤテ君のネクタイを直してあげることでお姉さんキャラをアピールしました。
 それも束の間、去り際に裾を踏んで転倒。それも続けて二回も。一見有能そうで天然に見えました。が、もしかしたらこれは罠だったのかもしれません。天丼でドジってみせることで、自分を幼く見せ、ハヤテ君にメイドとして比較対象となっているであろう、マリアさんの年齢を上に認識させようという、巧妙な。

 突然、表れたメイドさんに困惑したハヤテ君は、マリアさんを探し、このメイドさんが何者であるか尋ねました。
 マリアさんとは違うメイド服でメガネをかけた、一見有能そうで天然なメイドさん。
 この特徴から、マリアさんは、一瞬でその灰色の脳をググったり、ヤフったり、ついでにグーたりして、そのメイドさんが安全な人物であること、そしてもう一人お客さんがいるはずなので、見かけたら案内するように頼みました。そのメイドさんが、マリアさんの年齢を不当に上に認識させようしている可能性は否定はできませんが、心優しいマリアさんには、そんな可能性は思い浮かばなかったのです。

 来客の情報を得たマリアさんは、ナギお嬢さまにそのことを伝えに行きました。
 マリアさんに起こされたときは、依然、夢の世界でも迷子になっている伊澄さんを恨めしく見ていたナギお嬢さまですが、先ほどのメイド・サキさん、そのご主人である橘ワタル君が訪れていることを知らされた瞬間、表情が険しいものに変わりました。
 そして、やおら携帯電話を取り出すとクラウスさんに、二人を不審者と呼び、死なない程度の勢いで追い出すように指示。
 やりすぎじゃないかと嗜めるマリアさん、でしたがナギお嬢さまは、ハヤテには知られたくないとそれを複雑な表情を見せました。
 これで決まりました。ナギお嬢さまは、サキさんの企みを看破していて、そのことを知ったハヤテ君が、火のないところに煙は立たない式で、マリアさんの年齢を疑うことを恐れたのです。だから、ナギお嬢さまは大好きなハヤテ君に隠し事をしたがっているのです。

 自分が、お嬢さまに隠し事をされていることなど知らないハヤテ君が、マリアさんに申し付けられたもう一つのミッション、朝の掃除をこなしていると、三千院家自慢の池の石に座って缶コーヒーを飲む一人の少年を発見しました。
 ガイアーが人類に絶望するか、ソロシップがイデオンを連れてやってくるか、ドラえもんがネズミに囲まれてやむにやまれずあれを投下してしまえばとか、それに類似した言葉を吐き捨てています。
 明らかに病んでいる瞳で、話しかけてきたハヤテ君に因縁をつける少年、ハヤテ君は知りませんが橘ワタル君。
 サキさんがマリアさんの名誉を貶めようと企んでいるような人間なら、その影響を受けたワタル君がこんな瞳をしてしまうのも仕方のないことなのかもしれません。まあ、サキさんがそんなことを企んでいない可能性もないわけではありませんが、ねえ?
 女の子だったらヤンデレと称えられるところですが、そこは男なので、単に目つきが悪いだけで済んでしまうワタル君。相当、虫の居所が悪いのか、ハヤテ君に、池に飛びこむことを強要してきます。
 真冬の池なんかに飛びこんだら、服が汚れてしまいますし、そもそも死んでしまうかもしれません。当然、ハヤテ君は拒否しました。
 が、次の瞬間。
 ドン。
 背中を蹴られたハヤテ君は、池の中にドボン。
 何秒、我慢しようがCMタイムは貰えませんので、ハヤテ君は溺れかけながらも、急いで陸に上がります。
 あんなことをしておきながら、何か文句あるのかと、傲慢に言い放つワタル君。
 が、次の瞬間、ハヤテ君は客間に案内することが自分の仕事であると、話し出しました。
 てっきり、怒声をあげるか、左のジャブで牽制、右ボディーを鳩尾に入れて、動きを止めた後、ガゼルパンチ、デンプシーロールのコンビネーションで意識を刈り取った後も手を止めず、膝が折れるまで殴るのを止めないかしてくるかと思っていたところに、この態度。気を外されてしまい戸惑うワタル君。

 そこに、マリアさんを陥れようと企む、諸悪の根源、サキさんが駆けつけてきました。
 が、その場に現れたのはサキさんだけではありません。
 きっと、マリアさんに仇なそうとするサキさんの邪気に気づいたのでしょう、三千院家の、つまりは牧村印の警備ロボ、ミノフスキードライブ完備の「警備8801」は二人を排除すべき存在だと判断しました。さっそく砲撃を開始する「警備8801」。思わぬ障害の登場に、混乱する二人。マリアさんに使用人としての薫陶を受けた、漢気溢れるハヤテ君は、二人を抱え、飛びあがります。
 が、心に疚しいところがあるに違いない二人は、ハヤテ君が抱え込んできたことを、自分達の悪巧みを見抜いて拘束しにきたと思ったのでしょう、途端に逃れようと暴れ出しました。
 ジャンプ中に動き回られてはさすがのハヤテ君も思うように逃亡ルートを確保できません。
 結果として、もつれ合いながらお屋敷に落下。落ちた先は寄寓にも客間。折り良く、マリアさんとナギお嬢さまもいます。
 こうして、全員が揃いました。
 ハヤテ君に抱きしめられていたことを、お嫁に行けなくなると涙目を見せるサキさん。そんな純情そうな態度を取っても、もう遅いです。
 お役所に「苗字は分かりませんが、マリアって人の生年月日を五年ほど上にあげてくださいませんか?」とマリアさんの年齢を公的に上に上げようとして「帰れ」と追い払われてしまったことは、もうお見通しなのです。
 そして、とうとうお嬢さまの秘密が明かされる瞬間が迫ります。悪事を企んだサキさんへの、断罪の時です。
 そう、お嬢さまがハヤテ君に隠していたこととは――
 ワタル君はお嬢さまの許婚であるということ。 



 ……そんなわけで、ピチピチの二〇歳でメガネが知的でカチューシャのギザギザの角度が計算され尽くしていて、天然だけど善良この上ないメイド・サキさんと、ちょいとばかしバイオレンスな、後の年上キラー・ワタル君が物語に加わるのでした。 

 あーあ、地球滅亡しないかな……。



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森 昭雄

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ハヤテのごとく!20話【振り返った時あれが不幸の始まりだったと思い出す】畑健二郎
 扉絵は深窓のメイド、マリア。いっけん指が四本しかないと驚いたけれど、親指を桟に引っ掛けているだけだ。下側の葉っぱが幻惑させる。  それにしても家庭内労働に毎日勤しんでいるとは思えないほど綺麗な細い指だ。言い出したらハヤテの手の方がありえないけどな……...

2007.12.10 12:27 | 360度の方針転換

レビュー・評価:ハヤテのごとく!/第20話 「本は好きですが、歌え大竜宮城」
品質評価 11 / 萌え評価 22 / 燃え評価 1 / ギャグ評価 17 / シリアス評価 7 / お色気評価 24 / 総合評価 14レビュー数 228 件 夏休みだからなのか?なぜか朝も早く起き、生き生きしているナギ。一方ハヤテは、この夏休みに『必殺技』を取得しようと考えていた。そこで

2007.12.10 15:48 | ANIMA-LIGHT:アニメ・マンガ・ライトノベルのレビュー検索エンジン