しっぽきり

(この記事は少年サンデー1号のネタバレを含みます)
一本目 犯罪なんかくだらねー! ミックミクにしてやんよー! というお話
二本目 「面白ければいい」という言葉をどう捉えるかによって反応が分かれそうなお話


 極限状態のなか、明をのせたソリを引っ張っていくのは半獣と化した初音さん、小声で通信中の指揮官は小鹿さん、二人の隙をついて皆本さんを一人抱きしているものの、やっぱりアザラシも捨てがたく気もそぞろな薫さん、その身を魚臭くしながらも幼女と年齢不祥をハァハァさせる明くん、と様々な人間模様を描く雪景色。適度な空腹が能力の源と、ハングリーな初音さんにとって最重要課題は食事時間、そのことに明くんが気付き、皆本さんが注意を促していると緊急事態が。なんと通信がストップ、どころか電子装置全部ダウン。
 通信用のトランシーバーではそんなことは当然気付けるはずもなく、まあいいか、と初音さんに食事の時間と呼びかけます。
 食事こそ我が命。瞳をキラキラさせておすわりの初音さん。
 その瞳の星に、胸躍らす小鹿さん。
 その胸中に宿るのは、『初音は獣で判断力はありません。適当に餌付けして、最後に撫でてやれば大丈夫』というニュアンスの明くんの教え。
 虎の巻を手に入れた小鹿さんは、目的は達成したも同然と、暁に初音狼にまたがる真っ赤な自分の姿を夢想し、一悶えして、ご飯出すのが遅れ初音さんに一噛み。
 ですが、痛みもなんのその。さっそく食事の準備をはじめます。
 食事といっても手順は簡単。BABELの携帯食料の缶詰を初音さんに選ばせて、缶切りで空けて、動物の死骸の成れの果てを火あぶりにし、「あたい等もいずれこうなるのさ、自分がやってることを忘れちゃいけないよ。さっ、食べな」などと雰囲気たっぷりに語ってやればいいだけの話。それだけで、初音さんは大喜びのはずです。
 そう簡単なんです、こんなこと。
 缶切りさえあれば。

 ないの?
 ないんだって。
 なんで?
 休憩ポイントに忘れてきたんだと。
 どうして?
 無能だからじゃん。
 ああ、無能なんですね。なら納得。

 できないのが初音さんです。
 缶は開かず、中身も凍ってます。
 八方塞がり。不運なことにコンビニもありません。
 なら、ネットカフェか牛丼屋かハンバーガーショップかファミレスを探せば良いのですが、小鹿さんはそんなことには気がつきません。これだからゆとりは(´ー`)=3

 明くんを助けるためには、力が、力をつけるためには、肉が、そして肉を食べるためには狩りが必要です。小鹿さんを見る初音さんの目が怪しく光りました。
 



 一方で、皆本さんたちは雪上車の修理中でした。
 が、皆本さんによれば故障じゃないとのこと。
 時間が経てば大丈夫らしいという言葉に、疑問を感じつつも一安心の一行はくつろぎ中。
 局長は一服、チルドレンは雪合戦。
 そんな中、指示無しで二人きりにするのは、不安でたまらない明くんですが、本体は仮死中。戻ったところで何もできません。
 そんな明くんを薫さんが初音は新しい人が来て不安なだけ、慣れればきっといいチームになれる、と励まします。
 



 氷の上でビチビチいうクジラの子供。
 初音さんが取った手段はなんと、狩りではなく漁でした。
 下手をすると国際問題になりそうな気もしますが、初音さんの野性の前にはそんなこと問題にはなりません。
 それを止めようとするのは、小鹿さんと、クイーンクイーンと鳴くクジラ親。
 大きくて角が生えてます。ビックリな巨体です。角で初音さんの肩をブスリと刺すと、そのまま海中へ。
 命の危機に思い出したのは、過去の記憶。
 明がプレゼントしてくれたネックレス。明が買ってくれたハンバーガー。明が作ってくれた料理の味、明自身の味。
 どれも、漁に槍を使うぐらいの知性がまだ残っていた頃の優しい記憶です。
 お兄ちゃんで、お母さんな明くん。
 とてもとても大切な存在の明くん。初音さんは、そのためにいつもいつでも、そしてどこでも戦えます。
 そんな勢いでクジラの角をへし折り、押しつぶされそうになっても負けずに齧りつきガッツで抵抗します。
 いつ果てるともなく続く死闘が始まりそうな予感がしましたが、それを終わらせたのはなんと小鹿さん。
 自然と動物を愛する小鹿さんには、クジラと初音さんの戦いを見ているのが忍びなかったのです。元々は自分のミスで、クジラを返しちゃうと初音さんにご飯を食べさせられませんが、それはこの際、不問です。
 そんなわけで心優しき小鹿さんは、うりゃっ、という掛け声とともに、子供クジラを海に蹴落とし、そして決め台詞。
 海への返し方がいまいち気に食いませんが、そもそもクジラとしては子供が助かれば目的達成でしたので、不承不承ではありますが、一緒に帰ることにしました。
 不承不承で、納得できないのが初音さんです。
 食べられないとあっては、ムダ濡れです。が、文句の一つを言いかけた所で、初音さんが震えます。
 こんな極寒の地で、びしょ濡れになっては、本当に危険です。冗談抜きに。
 このままでは危ない、そう直感した小鹿さんがとった行動は、合法的なブラ見せでした。



 作戦も大事だけど、命のほうが大事と一生懸命に訴えた明くんの思いを汲んで、作戦の中断を決断、現場に駆けつけたチルドレンと明くん。
 しかし、そこで見たものは小鹿さんに抱かれ、人肌の温かさにまどろむ初音さんでした。
 作戦はそこでお終いでしたが、成功しました。
 磁気嵐が起こった後に現れたオーロラの下、二人はいつまでもいつまでもまどろみ、そして明くんは逆に嫉妬したのでした。


ホーホケキョ となりの山田くんホーホケキョ となりの山田くん
(2000/11/17)
朝丘雪路

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