しっぽきり

勢いで書いて見ました。
多々、粗いところがありますが、楽しんでいただければ幸いです。

今回学んだこと。

・プロットがあれば、勢いで書ける時もある。
・自分には基本的な文章力・語彙が欠けている。
















「ハヤテく…?」

デズニーズ野方店に来客を知らせるベルが鳴り響いた瞬間、店内の従業員・客の視線が一点に集まった。

ニュースでアナウンサーが、『凶悪』と伝えた強盗犯に銃を突きつけられた桂ヒナギクに。

「いらっしゃい」

「えっと、あなた…強盗犯?」

「それ以外の何かに見えるか?」

コーホーと息を漏らす仮面の男は、目で座れと、席を指す。
視線の先のテーブルには見なれた顔が4人。
クラスメートの執事、迷宮で戦ったシスター、そして―

「ハヤテくん……それに」

顔までジャケットを上げて席の隅に隠れようとしている姉。
口がモゴモゴ動いているところを見ると、何か口にしているらしい。

「お姉ちゃん?」

背中がビクッと震わせ、そろそろと眼の端でヒナギクを視認すると、一層身を縮こませる。

「お・ね・え・ちゃ・ん?」

ようやく自分がやってることを無駄と悟ったのか、顔を上げ、引き攣った笑いを浮かべる。

「あ、あら、ヒナちゃん、いらっしゃい」

「いらっしゃいじゃないわよ。こんなところで何やってるのよ?」

「な、何って、ファミレスだもの。食事に決まってるでしょ」

「…お金は?」

「え?」

何のことと言わんばかりに雪路が小首を傾げる。

「まさか、担当生徒のハヤテくんから、たかろうってしてたわけじゃないわよね?」

「それがね、綾崎君ったらひどいの。お金持って無いって言うのよ?執事が無一文なんて、三千院家も落ちたものだと思わない?」

「やっぱりたかろうとしてたんじゃないの!ハヤテくんも持ってないってことは……」

藁をも縋るように、ヒムロとシスターを見やる。
が、最後の希望であった二人も、カレーをかきこみながら首を振るという器用な行為で、ヒナギクを失望の淵へと追いこんだ。

「無銭飲食じゃない。なにやってるのよ~」

脱力のあまりテーブルに突っ伏すヒナギクに、ハヤテが声をかける。

「あの、ヒナギクさん?」

「なに?今言わなきゃいけないようなこと?」

「えっと、その」

「なによ!口篭もってる場合じゃない…」

ゴツリ

後頭部に固い物が押しつけられた感触に、ヒナギクの言葉が止まる。

「お嬢ちゃん、こっちは急の用なんだが、聞いてもらえるか?」

「な、なによ?」

気丈に問う少女に、銃を持っているという絶対的優位からか仮面の下でニヤニヤと笑みを浮かべながら、強盗犯が答えを返す。

「外に、警察が来ててな。どうも、足取りを辿られたらしい。それで、アシと金を要求する。そのための、人質になってくれねえか?」

いつの間にか窓の外には人垣ができており、その最前列には警官達がいて、拡声器を用いて犯人への説得の言葉を重ねている。


「人質?」

「そう。要求するならインパクトが合った方がいいだろう?」

そう言って強盗がヒナギクの首に、腕を捲き付け、銃口をこめかみに移そうとする。
その瞬間だった。

「コンバトラーキーック」

雪路の体が、宙に舞い必殺の蹴りを強盗に放ったのは。

「ぶhせrみhお@tj:k」

不明瞭な悲鳴を残しながら、強盗が吹っ飛び、壁に衝突し崩れ落ちる。
拍子で倒れたヒナギクに手が差し出される。
見上げれば、雪路が安堵の笑顔を浮かべている。

「怪我ない?」

雪路の掌をまじまじと見つめる。
12年前、あの寒い夜に繋いでいた手。

「………うん」

表情を悟られないように、うつむき手を握る。

「よしっ」

満足そうに頷いて、雪路がヒナギクを引き起こす。

「あのね、お姉ちゃん…………ありがとう」

うつむいたまま、小声で雪路に礼を言う。

「………うん」

雪路は笑顔でその言葉を受け取り、そして―

「………なに?」

ヒナギクへと向けて、手を伸ばした。

「お金、貸して?」

「はっ?」

「お金」

「えっ?」

「あそこで私が蹴らなかったら、どうなってたんだろうね」

「へっ?」

ヒナギクの財布から、とても偉い諭吉さんが何人か移動した。











『この間の決着をつけてくるわ。4人目?適当に探すわ。雀荘に行けば誰か知り合いがいるでしょ』そう言い残して雪路は、ヒムロとシスターを連れ立って
嵐のごとく、立ち去ってしまった。
取り残された二人も、特別店にいる理由もなく、帰ることとなった。

「本当にすみません。僕が、ヒナギクさんに電話なんかしたばっかりに…」

「い、いいわよ、強盗に捲きこまれるなんて予想できないし」

―そういえば、こんなに面とむかって会うのってあの時以来よね。
あの誕生日の夜が頭にちらつき、謝るハヤテを慰める口調もどこかギクシャクとしているのが、ヒナギク自身にも自覚できる。

「そ、それにしても、外、まだいるのね」

ごまかしに口にしたヒナギクの言葉通り店外には、強盗が立て篭もっていた時程ではないものの、いまだに野次馬は立ち去っていない。
「そうですね」と野次馬をザっと見渡したハヤテが何かに気付いたように、声を上げる。

「あれ?」

「どうしたの?」

「西沢さんじゃないですか?」

「えっ?」

西沢という単語に、ヒナギクの声音が強張る。
彼女もこちらに気付いたのか、遠慮がちに手を振っている。

ごく普通の、でもこの上なく可愛い笑顔を浮かべる女の子。
恋愛を応援してあげるといった女の子。

そして、再びヒナギクの胸をあの夜、目の前の少年に抱いた感情がよぎり、痛みを伴った波紋を起こす。

「ごめんなさい。私、急用を思い出したわ。さよなら」

そう言い残し、ヒナギクはハヤテとも歩とも視線を合わせずに、立ち去っていった。

「ハヤテ君」

人垣を縫って歩がハヤテに近寄ってくる。

「西沢さん…久しぶり」

「うん……あの、返事はまだいいから」

「う、うん」

「そういえば、ヒナさんはどうしたの?」

「えっ?ああ、急用を思い出したらしいです。ヒナギクさん生徒会長ですから、忙しいんですよ、きっと」

「そうなんだ」

少女の胸中にささやかな違和感が浮かんだが、少女はそれがなんであるか、はっきりとは認識できなかった。

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2006.11.28 11:46  | # [ 編集 ]













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