しっぽきり

(この記事は少年サンデー52号のネタバレを含みます)
高尾山登頂の翌日。
 人の話を聞かないことに定評のあるハヤテ君は、白皇生徒なのに今日が休みなのを知りませんでした。
 なんでもマリアさんのお話によれば今日は安息日。現代社会の富豪に蔓延するもやしっ子症候群の影響で、ハイキングを終えた生徒達が筋肉痛にかかることを考慮して休日。
 ナギお嬢さまも、ご多分に漏れずもやしっ子症候群。更にHIKIKOMORI病も併発し、とくに体を動かしていないこともあって、もちろん筋肉痛。
 そんな、微妙なポージングで固まるナギお嬢さまを華麗にスルーしてマリアさんはお掃除を開始、ハヤテ君もコロコロ変わるお嬢さまの体調に同情しつつ、それに従うのでした。
 
 マリアさんに頼まれたお風呂掃除。
 タイルをモップでしゃこしゃこ言わすハヤテ君は、擦っても擦っても終わらない掃除に、改めて三千院邸の広さを思い知ります。
 その一部である母屋にしても、まだ把握しきれていない。そんなことを考えて、モップ掛けの手を休めると、あることに気づきます。
 今まで壁だと思っていた場所が引き戸であることに気づいたのです。
 勤めて四ヶ月目の発見です。
 ハヤテ君の仕事っぷりをチェックしにきたマリアさんに尋ねると、中に入ってみれば分かるとのこと。
 マリアさんと一緒にいられるし、好奇心を満たせるし、なにより仕事もサボれるし、断る理由がまったくないハヤテ君の答えは当然、二つ返事。
 が、部屋の中は、室内ジャングル。
 これだけでは、この部屋が何の部屋なのか全然分かりません。
 ――タマが悪戯をした時に放りこまれる檻か、いや、それにしては豪華すぎる。でも、あの長年のお屋敷暮らしで野性を失ったトラネコなら、むしろ自然に突っ込まれることこそが罰なのかも。
 などという、ハヤテ君の想像は外れ。マリアさんによれば、サウナとのこと。
 広すぎるサウナにビックリのハヤテ君。にわかには信じられませんが、マリアさんのしなやか指でカチリと押したスイッチに反応して、突如湯気が上がり温度も上がり始めたことを考えれば、たしかにこの部屋はサウナ意外の何物でもないようです。
 迷ったら危険なので今は使用されていない高温サウナに、身の丈サイズの暮らしが一番と改めて思い知るハヤテ君。
 そんな実用性のないどころか軽い危険地帯な部屋から脱出しようとした瞬間、久しぶりに稼動した対宇宙怪獣用をカスタマイズした縮退炉のあんまりな出力にブレーカーがバツン。
 電気が消えてお部屋が真っ暗、蒸気で濡れたタイルに足が滑ったのか、移動しようとしてハヤテ君にぶつかったのか、あるいはここがチャンスとばかりにハヤテ君が、マリアさんに足をかけてラブコメシーンを演出しようとしたのか、とにかくマリアさんは転んで、ハヤテ君はその下に。

 ビールを買う金が、まさか銭湯の料金を払った時点で十円足りなくなってるとは気がつかず、風呂上りの一杯を楽しみに汗をかく女性教師のイメージカットを挟みつつ、マリアさんとハヤテ君は、自分達が危険な状態にあることを気づき始めていました。
 着衣で気温は九十℃、ブレーカーが落ちているので電気による排熱も不可能。豆知識によればタイムリミットは十分程度。
 とりあえず、マリアさんに立ちあがるよう頼むハヤテ君。が、マリアさんはなかなか立ちあがりません。どこでどうしたものか、マリアさんの、クルリと回るとフワリと膨らむスカートの裾が、木に引っかかっていたのです。とはいえ真っ暗闇の状態では、そんなことは分かりませんし、分からずに動いてもどうにもならず焦りが募るばかり。
 慌てるマリアさんを、「マリアさんに暗闇で押し倒されるシチュエーションも乙なものです」と落ち着かせよう、あわよくば吊り橋効果まで狙おうと試みるハヤテ君でしたが、当のマリアさんは軽い男は嫌いですと、ばかりにバッサリ。
 
 お説教は後回し、とりあえず脱出が先決と、マリアさんはハヤテ君に、ラッキータッチ禁止で這い出すように指示。
 そして自分は、暗闇なら見えないだろうからと、仕方なく引っかかったスカートを脱ぐことを決意、同時にハヤテ君に振り向くことを禁じます。
 あまりの展開に慌てるハヤテ君。気を遣って遠くに行こうにも、迷子になる可能性を考えればそれもできません。そんなことになれば、巨大な獣にも突っ込んでいく深海童を笑えなくなってしまいます。
 迷っている時間もありません。寒冷地仕様のマリアさんはサウナにまいっているのが、その声音からも伝わってきます。
 暗闇の中とはいえ、羞恥心に頬を染める少女を、更に追い詰めような真似は出来ないと、背を向ける少年。
 衣擦れの音。
 そして、少年の服の袖を摘む弱々しい指の力。
 作業は終わったようです。
 確証は得られなくとも、迷っている時間も、助けも期待できないので、とりあえず、自分の勘を頼りに脱出を始めようとするハヤテ君。
 そのハヤテ君にマリアさんから出された条件は、どこかの神話よろしく、振り返ったら何もかもアウト、警察沙汰とのこと。放送室に閉じこもり、いかに自分の正当性を訴えかけようと全てはムダ。公僕さん達は一匙の容赦もなく、ハヤテ君を捕まえていってしまうでしょう。
 そんなわけでハヤテ君は振り返らないように誓うのでした。
 が、誓いなんて言葉は、激変する現実の前では、ただただ無力です。
 過酷なサウナの環境にとうとうマリアさんがダウンしてしまったのです。
 呼びかけても、気を失っているのか返事はありません。
 振り返れば警察沙汰、振り向かなければ最悪――
 選択に迷ったのは一瞬。出た答えはもちろん振り向く。
 最後の心の拠り所として振り向くハヤテ君――
 が、聞いたのは、気がついたマリアさんの声。
 瞬時に、顔を逸らしたものの、マリアさんには振り返っていたことを見られてしまっていたようで、振り向いた、振り向いてません、向いた、向いてません、と問答を繰り返しているうちに、とうとう押し切られ、正直に白状することに。
 悪気はなかったと謝るハヤテ君ですが、マリアさんはたいして怒っていませんでした。
 倒れたところを助けてくれようとしていたのだから。
 
 電気が消えたことで、マリアさんに押し倒される。
 マリアさんが一瞬気絶したことで、マリアさんとちょっといいムードになる。
 ここまで、ハヤテ君には基本的に優しい不運が訪れていました。
 が、ここで訪れたのは意地悪な幸運。
 電気がついたのです。
 それだけなら、よかったのですが、驚きと同時に喜びで我を忘れたハヤテ君が次の瞬間とった行動は振り向く。
 そこにいたのはマリアさん。ただし、スカートを脱いだ。
 「異議あり! 振り向いたら警察沙汰なのは暗い時の話。電気が回復して明るくなったのなら条件も変わるはず、つまり明るいときに振り向いても警察沙汰にはならないはずだ!」なので、警察・司法を通さずに、問答無用にハヤテ君は地下牢にぶち込まれてしまったのでした。
 
 

 ちょっとお邪魔します。

>作業は終わったようです。
 この一文に物凄いエロスを感じてしまいました。素晴らしいです。

 暴飲暴食女教師の汗はアルコールの匂いがしそうですね。

2007.11.28 22:14 URL | こいん #7rOtuwVw [ 編集 ]

>もの凄いエロス

 あっ、ありがとうございます((((( ;゚Д゚)))
 直接、脱いだって表現するのもあれだなあと思っての一文でしたが、望外の効果を感じていただけようで、幸いです。

>女教師の汗

 直前に飲まずとも、普段の生活で摂取してる分で十分に香りそうな予感がしますです。

 コメントありがとうございました。 

2007.11.28 23:19 URL | 美尾 #9ayR5QDw [ 編集 ]













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