しっぽきり

(この記事は少年サンデー48号のネタバレを含みます)
 高尾山にとても凶暴なクマ登場という臨時ニュースを見ても、冷静なマリアさんは慌てません。
 マリアさんの脳裏に一瞬だけよぎった、たまたまハイキングに行っていたハヤテ君たちが、高尾山で迷って運悪くクマとバッタリと遭遇して逃亡劇、最終的にはお墓に火をつけたタバコを線香の代わりに供えて供養するなんて事態にはならないのです。
 なぜならお嬢さまもハヤテ君も非喫煙者、タバコをあげても供養にはならないから。
 なのでハヤテ君と虎鉄さんのダブル執事は、たまたま高尾山で迷って運悪くイタチっぽいクマと遭遇して全力で逃亡劇を演じていました。
 執事とはつまり超人。ハヤテ君はもちろん、今日はなんだかとっても表情豊かな虎鉄さんだけなら逃げ切れたかもしれません。が、今日の被害者はダブル執事だけではありませんでした。
 おまけパーツであるところの東宮君は、山頂で使うはずだったのでしょう、持ってきたスケッチブックに『死んでます』と書いて、クマの注意を逸らそうとしました。頭脳派です。
 が、とても凶暴で我を失ってしまっているクマには、言葉は通じません。
 クマの一撃が東宮くんを切り裂くと思いきや、そこは主人公のハヤテ君。弱き者を見捨てたりはしません。咄嗟に飛び出し、東宮君を窮地から救い出しました。
 が、状況は変わりません。ツンデレ風にお礼を言う東宮君を抱え、クマから逃げなければならないのです。
 ハヤテ君は、なんでこんな目にと不幸な我が身を呪うのでした。

 走り、森を縫い、枯葉を蹴り上げ、なんとかクマから身を隠すために木に登ったものの、腹を空かせた獣はようやく見つけたエサである三人を諦めきれないようで、三人の上った木の周りをグルグルと回っています。
 東宮君はもちろん、ハヤテ君も虎鉄さんも、高尾山最強の生物に戦いをしかける積もりはないので、
しばらく様子見の方針。
 が、一応の安全を得た今、三人のというか一人の心の中に変化が生じていました。いえ、一応の安全と言っても、依然として危険な状態であるため吊り橋効果が生じてしまったのかもしれません。
 つまりは、虎鉄さんがハヤテ君ににじり寄ってきたのです。
 ――受けの表情をするあたり綾崎も、嫌も嫌も好きのうち状態にちがいない。
 その理屈がセクハラになるとも知らず前科者であるところの虎鉄さんは、ハヤテ君の枝に移りました。特殊なシチュエーションで、ハヤテ君と二人きり。虎鉄さんは恍惚の表情です。
 そんなことをしているうちに落下してしまいました。
 東宮君が。
 当然、クマも彼の落下音を聞きつけて襲ってきます。
 逃げようにも恐怖心で足がもつれ転倒する東宮君。いままで助けてくれた野々原は既に自分の側にはいません。独り立ちしてほしいという野々原の期待には応えられそうにない自分の不甲斐なさと、目前に迫る死の予感に東宮君の瞳から涙がこぼれおちます。
 が、ここでもハヤテ君。
 ハヤテ君は主人公。ヘタレだろうがなんだろうが目の前で命が失われそうになるのを見過ごすわけはありません。襲われてるのが虎鉄さんならどうかわかりませんが。
 飛び蹴り一閃。
 どんどんサイズが巨大化してる気もするクマを蹴り倒すと、東宮君を連れ再び逃げ出そうとします。が、事態の急展開について行けなくなりつつある東宮君はなんとこの緊急時にハヤテ君に抱き着いてきました。感謝の感情がこもっていようが、状況から見れば最悪のチョイス。
 立ち上がり、二人を生き物から肉に加工しようとするクマの拳が振り下ろされます。
 本能で生命の危機を察知しつつもハヤテ君のとった行動は、東宮君を安全な場所に突き飛ばす。
 次の瞬間、虎鉄さんの叫びを聞いたのが先か、それとも肉を切り裂く感触が先か。
 とにかく、ハヤテ君の視界は赤く染まったのでした。自分の血で。





 そんな血生臭い場所とは遠く離れているのか、あるいは意外と近くなのか、こちらも迷子なのでいまいちよくわからないワタル班。
 こちらはクマなんかには襲われてはいませんでしたが、デタラメなスペックの執事が班に居ないのと、愛歌さんの体調上の問題で、地に足のついた形でまた危険でした。
 最近は結構元気だからとはいっても、山を登る肉体的消耗と、道を見失ったという精神的消耗が重なればそれは辛いものです。
 石のせいだと、不幸の原因に自覚的な愛歌さん。
 話振りから考えるに、石を元の所有者から譲り受けたのは割と最近で、石の力も完全に把握はできていない様子。
 そんな心配事もあって、愛歌さんの足取りは重くなる一方でした。
 これを見逃さないのが、同年代に弱いけど、年上を落とすという一点にかけては飛びぬけた才能を持つワタル君。
 愛歌さんを、「ひゃん」と座らせ、休むよう提案します。
 さすがに年上のリードは一級品です。が、同年代、とくに伊澄さんにはからきし弱い三級品のワタル君。

 「え? いや道はこっち……」
 「大丈夫、こっちを行けば近道になりますから」
 「いや、でも」
 「大丈夫」
 「あっ……う、うん」

 と言う形で押し切られ、結局、さて千桜さんをどうやっていじめてやろうかいう考えに夢中で自分の班が道を間違えてしまったことを気づかなかった愛歌さんを迷子に巻き込んでしまったことを謝ります。
 ところで、ある種元凶の伊澄さんは迷子になってたとか。

 そのまま、しばらくの間休み、そろそろ頃合いかと出発しようと、一口飲んだミネラルウォーターを愛歌さんに渡すワタル君。
 水分を摂取する重要性は重々承知しつつも、これが意味することは間接キス。
 攻めることは得意な代わりに、守ることは不得手なのか、それともワタル君の年上落としオーラに当てられたのか、愛歌さんはこれを過剰に意識してしまいます。弱点帳にも意外な弱点があったのです。
 いやなら置いていくと、必要なら強気なリードをすることもできるワタル君に押され、顔を赤らめつつ一口。
 そして、ワタル君に続くのでした。


 一方、その頃、ナギお嬢さまと美希お嬢さまは山を呪い、平地を愛し、雪路先生と。山で迷子を探していたら迷子という状況に執事とは違う意味でテンションを上げるいいんちょさんは、昔の人達の作ったことわざの意味を実感しつつ、迷子のプロフェッショナルと遭遇しているのでした。












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