しっぽきり

 十月二十日は牧村さん誕生日ということで、牧村さんメイン話である六八話の感想を書いてみました。
 お祝いになってるかどうかは……。
 上司からの指示を受け、部屋を出た牧村志織博士二二歳の足取りはそれはそれは重そうでした。
 自らの持てる技術の粋を集めて、馬力と運動性、そして何より火力をグレードアップさせてきた牧村シリーズのことで叱られたのもショックなのですが、それ以上に学校の教師を務めるよう指示されたことが疑問でならなかったのです。
 大体、教師といっても何をやればいいのかいまいちわかりませんでした。
 授業をやればいいとはわかっていても、授業の大半は夢うつつ、覚めてるときは可愛くてたまらない同級生をビデオカメラに収めることに夢中だったので、一部を除けば授業どころか学生生活自体がどういうものだったか記憶は曖昧でした。
 そんな牧村さんにも、一つ鮮明に覚えていることがありました。
 テストです。さすがに牧村さんがいくら天才でもテストの点数が悪ければ卒業できないので、テストを受けたことだけは覚えていました。ただし、それも覚えているのは開始五分ぐらいで、後は終了まで寝ている記憶なのでしたが。
 ――とりあえず、テストでもやろう。
 それだけ決めると、安心したのかあっさりと居眠りをしはじめ、また上司にコラーと叱られてしまうのでした。
 そんな、自分が教師化した影響で、それを告げた理事長に抗議しようとしたものの、理事長に親指と人差し指で作った丸を見せられ、自分が理事長に借金していることを思い出し沈黙、やるせない思いを抱えて、それでもヒナなら、ヒナならなんとかしてくれると飛び込んだ実家では、ノックを忘れ妹の着替えを目撃してしまいボコられ、あげくに理事長の処置が妥当と切り捨てられ、担任から副担任に降格した女教師がいるとは、牧村さんは知る由もないことでした。

 

 翌日、牧村さんは母校に教師として帰ってきました。
 学生達は当然のことながら突然担任になった牧村さんに驚いています。前日まで担任だった雪路さんはなんだか敵意に満ちているようですが、とにかく超然としているというより空気を大胆に読む牧村さんはそれを気にする様子はありません。
 前日、エイトに手伝ってもらって作成したテストを配り、抜き打ちテストを行うことを宣言しました。
 生徒達は当然不満そう、雪路さんもなんだか勝ち誇った顔をしていますが、当然、雄大で空気を豪快に読む牧村さんは気にする様子はありません。
 学生達がうーんだとか、あーだとか、頭を捻ったり首を小刻みに動かしてクラスメートの答えを見ようとしたり四苦八苦したりしているうちに、テストは終わりました。
 回収されるテストを受け取ると、パラパラと答案用紙を捲っていきます。
 誰もが、その行動に意味を見出すことはできませんでした。
 しかし、このとき自らが開発した機体の高速移動を観察することで動体視力を鍛えた牧村アイは光っていました。
 目から入ってきた情報をすぐさま整理し、統計をとり、そして個別に傾向を見出す。
 つまり平均点を算出し、生徒個人の答案の特徴すら指摘したのです。
 これには、生徒達も最初とは違う意味でびっくりでした。
 こんな能力を見せ付けられては、生徒達の心は牧村さんに掴まれたも同然でした。
 そんあ圧倒的なスペックを見せ付ける牧村さんに自らの劣勢を感じ取り、牧村さんに不純異性交遊疑惑を生じさせることで担任の座を取り戻そうと、女顔で年上好きの執事を拉致し牧村さんを口説き落とすよう依頼する女教師がいるとは、牧村さんには知る由もないことでした。
 
 

 放課後、一仕事終えた牧村さん。
 生徒達の心を掴んだとはいえ、そこは慣れない仕事をこなした牧村さんは疲れていました。
 気晴らしに、マッドサイエンティストの血を満足させようと百葉箱を機械化改造し始めました。
 キンコンカンカン、スパナを鳴らし、怪しげな回路を取り付け快調に作業を進めていく牧村さんの耳に、誰かが揉みあっているような物音が聞こえました。
 音がした茂みを覗いてみればそこにいたのは、先輩教師と彼女に押し倒された生徒。
 肌蹴た胸元、つながれた手、真っ赤な顔。
 二人を目撃した瞬間、牧村さんの脳裏に、不純異性交遊という単語がよぎりました。
 天才ゆえの悲劇か、空気を逆読みしてしまうこともしばしな牧村さんですが、この状況ではしかたありません。二人がどんな言い訳をしてきても、そうとしか見えないのです。
 教育の一歩として、悪いことは悪いことと言うべき、たとえそれがどんな結果を生もうと、悪いことをしてしまったらそれを償わなければならないのです。牧村さんの教師としての正義感が燃え上がりました。即席教師ですが、そこはそれ。大事なのは時間ではなく肩書きです。
 そう決意した瞬間でした。
 なんと生徒が飛び掛り押し倒してきたのです。飛び掛る前に雪路さんに押されたかもしれませんが、何物も見逃さないはずの牧村アイを持つ牧村さんが、生徒が自分の意思で押し倒してきたと感じたのなら、押してないということなのです。
 押し倒された上に、胸まで触られた。無垢な牧村さんにとってお嫁にいけないことをされたも同然の蛮行です。
 それは、牧村さんを迎えに来たフルアーマーエイトにとって勿論許しがたいことでした。
 牧村さんを襲った生徒を掴み、復讐を遂げようとしたその時、静止の声が上がりました。
 声の主は雪路さん。
 彼女は自分の顔に免じて生徒を許して欲しいと訴え、そして思春期の生徒たちは未熟な存在であり、それを導くのが私の仕事だと涙を一つ流しました。
 それに心を打たれたのかフルアーマーエイトは生徒を許し、そして牧村さんは雪路さんに理想の教師像を見出すのでした。
 牧村さんは、こうして信頼できそうな先輩と共に、教師としての道を歩き始めました、通行料は基本割り勘で。

 
(十月二十日 十五時五十五分 誤字・構成修正)

美尾さま!美尾さま!
牧村さんとか、まっきーとか、しおりんとか主任とか、
美しき白衣メガネさんの誕生日をいわってくださって
ありがとうございます!

SSも堪能しましたですよ。
志織さんを詩織さんと間違えていらっしゃるのも、
おいしくて味わい深い美味しんぼです。

>何物も見逃さないはずの牧村アイを持つ牧村さんが、生徒が自分の意思で押し倒してきたと感じたのなら、押してないということなのです。

そうなのです。そうなのですよ!

ともあれ、牧村志織さん22歳、
誕生日おめでとう!

2007.10.20 11:29 URL | ニコ #nMYPI6HY [ 編集 ]

 はじめまして~。
 方々で、牧村さん愛溢れるコメントをお見かけしているので、初めての気もしませんがw

>SS

 SS……なのでしょうか、これはw
 かといってちゃんとした感想でもないような……いや、こういう形式の文章をやめる気はありませんが。

>名前

 Σ(´・ω・`)
 すみません、すみません、間違ってすみません。さっそく直しておきました。

>牧村アイ

 そう、聡明なる牧村さんの牧村アイはこの世の真理を全て見通す、魔法の目なのです。

 コメントありがとうございました。
 あらためて、誕生日おめでとうございます。

2007.10.20 16:02 URL | 美尾 #9ayR5QDw [ 編集 ]

>彼女に押し倒された生徒
雪路は心清きエルフなので、生徒を押し倒すなどという乱暴な真似はしません。
あれはハヤテの演技です。

>雪路さんに理想の教師像を見出す

さすがは天才・牧村さん。
素晴らしく賢明な判断だと思います。
雪路を尊敬し、親交を深めた事が後のスピード出世に繋がったのです。

2007.10.21 01:36 URL | 六角坊 #3v9IlUEY [ 編集 ]

>雪路は心清きエルフなので、生徒を押し倒すなどという乱暴な真似はしません。
あれはハヤテの演技です。

 ((((( ;゚Д゚))) Σ あっ、あのガキャァァッ!
 そうだったんですね! 不運でおきた事故じゃなく、ハヤテがおこした事件だったのですね!

>さすがは天才・牧村さん。

 ええ、牧村アイは人を見抜く目もたしかなのです。
 そして、雪路さんも人を育てる天才なのです。それが、自分に返ってきてるかどうかは別なのですが。

2007.10.21 16:16 URL | 美尾 #9ayR5QDw [ 編集 ]













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