しっぽきり

(この記事は少年サンデー46号のネタバレを含みます)
 一本目 国家権力万歳
 二本目 ガードが固いというか、影が(ry


暗室で、少女Cは訥々と語り始めました。
 あれは遠足の日のこと。彼女のクラスメート達の三人はとてもハイテンションでした。
 ちょっとばかり特殊な三人には、遠足という小学生には普通なイベントがとても楽しみだったのです。それは、バス酔いのクラスメートの頭をシェイクして吐瀉らせるという荒行をこなした後、そのシチュエーションで温もりの残った弁当箱の匂いを嗅いだら気持ち悪くならないかという疑問を吹き飛ばす恍惚の表情を、見せるぐらいに。
 そう、特に薫さんにはとっておきのお楽しみがあったのです。お弁当という。



 遠足前、光源氏計画遂行中の皆本氏は育成対象である三人に、遠足に持っていくお弁当は何がいいかを聞いてしました。
 葵さんのリクエストは、カラフルなやつ。煮込むなってことです。
 ヘアバンドさんのリクエストは、豪華なサンドイッチ。金かけろってことです。
 味っ娘さんのリクエストはトラウマになりそうなスッゴイやつ。シュールストレミングってことです。
 アンケートはとっても、普通ならば三人のお弁当を別々に作るなんて面倒なことはしません。
 薫さんが手作りの弁当を食べたことがなかろうが、紫穂さんが、努力による精神的苦痛が最良のスパイスと言おうが、適当にこなすのが主夫の知恵です。普通ならば。



 そんな回想をはさみつつ遠足は続いていました。
 ちさとさんには一つ疑問がありました。
 皆本氏は何者? という疑問です。
 ちさとさんがそんな疑問を抱くのも当然と言えば当然のこと。
 年齢から考えれば三人と皆本氏はとても家族には見えませんし、そもそも三人は苗字が別々なのですから、
 三人の愛人発言に驚き木に衝突する災難続きの東野君を余所に、皆本氏の高スペックが次々と明らかになっていきます。頭はいい、というか三人の担当をする片手間にリミッター開発に協力するぐらいですからいいってレベルじゃありません。スポーツもそこそこ、特に打たれ強さと射撃の腕については折り紙付きです、それがスポーツかどうかは別として。
 モブキャラと共に高まる殺意を、さらに煽るちさとさんの「あんなお兄さんが欲しい」発言。
 もうちょっとで、というか既にフラグは立っているはずのちさとさんのこの発言と当てこするような視線に、吐いてしまい卒業文集で「東野君が吐いた遠足」とか誰かが書き出すことは確定、ブルーな精神状態にあった東野君がキレたことを、誰が責められるでしょう?
 決定的だったのは、料理もうまいと薫さんが取り出した弁当でした。
 キレたといってもそこは東野君。作中一の漢。弁当を取り上げて「もーらった!!…なんてな」と掲げる程度でした。
 が、皆本氏のお弁当をそれはもう楽しみに楽しみににしていた薫さんの反応は予想以上のものでした。というか、咄嗟にやったことなので反応なんて予想もしておらず、東野君は驚くしかありませんでした。
 飛び掛り奪取しようとする薫さん。驚き、弁当を握る力が緩んだ東野君。
 その結果、抵抗する力も無しに薫さんの手に突き飛ばされた形になった、弁当箱は放物線を描き、不自然なぐらいによく跳ねて繁みの中に消えていきました。
 錯乱する薫さん、混乱する東野君。
 超能力を使うわけにもいかないと葵さんを嗜めた紫穂さんは、二人分を三人分に分けて解決しようとお弁当の中身を確認します。そこに浮かんだのはベーグルサンド。パンもなんだか高級そうで、オレンジの汁漏れ被害がちょっと心配ではありますが、好物である鳥のから揚げも入っている紫穂さんの希望通りの中身です。慌てて、葵さんのお弁当をのぞくと、そこにはウィンナーとか卵焼きとかでカラフルなおかずと、こちらも希望通り。
 そう、ロリコンだけあって普通じゃない皆本さんは、手を抜かずに三人分別々のお弁当をこしらえていたのです。
 それを聞いて、薫さんはいよいよ辛抱できなくなりました。
 自分専用のお弁当です。きっと本当にスッゴイお弁当に違いありません。
 愛情弁当を飛び出す薫さん。飛び出したのは薫さんだけではありませんでした。責任を感じたのか、東野君も飛び出したのです。
 止めるのも不自然なので、二人を見送った葵さん・紫穂さんは、ちさとちゃんを連れて先に山頂へ向かうことにしました。


 後に少女Aは真面目に、少女Sはチョコレート菓子を齧りながらのんびりと、そのとき状況が思いもかけない方向に悪化したことを認めました。


 二人で探しても、予想外によく跳ねてしまったお弁当はなかなをか見つかりませんでした。
 これ以上遅れては、二人共先生に叱られると、戻ることを提案する東野君ですが、それに薫さんは、東野君だけ戻るように返します。超能力さえ使えれば早く見つかるのですから、逆に東野君がいなくなったほうが好都合と考えたのです。が、東野君はそれに従いません。薫さんに何かあってはトラウマものですし、第一ちさとさんにあわせる顔もありません。
 そんなそれぞれの思惑を抱える二人を取り巻く事態は更に悪化します。山の天気は変わりやすいという言葉どおりに雨がふってきたのです。それも相当強く。
 雨が降る中、葵さんはテレポートできずに薫さんたちを助けにいけないことに不安を覚え、紫穂さんは、雨の中ずぶぬれで二人きり、ちょっとしたハプニングで、ライバルが減るかもしれない、いやあるいは逆に東野君がライバルになるんじゃないか? と奇妙な板ばさみに複雑な心境に陥るのでした。












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