しっぽきり

 マリアさんは今日も今日とて大変です。
 
 ハヤテ君にちょっと質問しただけで、フラグ成立じゃあ! ハーレムへの第一歩じゃあ! と騒がれる始末。
 そんなハヤテ君でしたが、ローボールヒッターではないようで、ナギの勘違いという問題を抱えるマリアさんの悩みを解決してはくれませんでした。ワイドショーも、キレる若者特集でマリアさんの苦悩は深まるばかり、爆弾の威力も上がるばかりでした。


 そんな爆弾を抱えているとは露知らず、ハヤテ君とナギお嬢さまは二人で歩きながら会話中です。
 前向きというよりは自分に都合のいい妄想に身を浸すハヤテ君、ハヤテ君と二人きりの時間を持ちたいナギお嬢さま。
 話題は近頃おかしなマリアさんの様子に。
 恋煩いかとこれまた都合よく解釈をしたハヤテ君も、お嬢さまの暗に「お前、まともな執事の仕事してねーじゃん」と指摘する言葉には感じるものがあったらしく、ようやく仕事をする気に。
 そこに、ハヤテ君と一緒の時間を過ごしたいお嬢さまも手伝うといってきました。
 この時点で、ナギお嬢さまの家事テクニックを見抜いていたハヤテ君は露骨に嫌がりますが、ご主人さまの命令には逆らえないのが使用人の悲しいところなのでした。


 その悩みはマリアさんも同じです。
 かわいいナギお嬢さまの好意を無碍にはできません。部屋にすっこんでろと言ってみたのですが聞く耳持たないようですし。
 掃除をすれば独創性あふれる風景を、洗濯を任せれば溶解・腐敗した繊維を、料理を任せれば新たな味覚を――ナギお嬢さまに、家事を任せればそんなファンタジーを作り出してくれやがるはずです。
 なので、まだまだ常人の域にいたいマリアさんは、あしらうことにしました。
 花取って来いと。防ぐだけでは
 マリアさんの深謀遠慮はお嬢さまの新世界創造を防ぐだけではありません、二人で共同作業をさせることで、ハヤテ君にナギお嬢さまへの好意を芽生えさせようとしたのです。
 が、それはそれでロリコンを一人誕生させることになるので、この場合どんな選択をしても負け戦だったのでした。

 
 
 二人と一匹で花を探しに出た一行はあっさりと、目標物を発見します。
 巨大蛇のおまけつきで。
 花を取り囲むように、眠っている蛇。
 倒さなければ花はゲットできない。
 そんな状況の中、マリアさんとの約束を守るためにお嬢さまがチョイスしたのは、タマに一対一を仕掛けさせるということ。
 自分の十倍はありそうな巨体。絞め殺されるどころか、飲み殺されそうな体重差ですが、タマは覚悟を決めました。拾ってくれたお嬢さまのため。そのお嬢さまは花も滅茶苦茶になるからと、あっさりタマを捨てていってしまいましたが。

 
 タマを最前線に残して二人がたどり着いたのは、冬なのに満開なド根性お花畑。
 ようやく二人になれたと頬赤く花のように微笑むお嬢さま。
 問うのは、期待に胸を躍らせて尋ねるのは、もちろんあのこと。
 つまりは、自分が大切かということ。
 ハヤテ君は答えました。
 お嬢さまが世界で一番大事だと。
 なにか致命的に言葉足らずなところがあるような気もしますが、この時の二人は十分に幸せだったのだと思います。将来はどうか知りませんが。
 とりあえず、ハヤテ君に関して言えば幸せは数十秒ももちませんでした。崖から落ちたので。

 あっ、そういえばタマは勝ったそうです。












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