しっぽきり

(この記事は週刊少年サンデー三十三号のネタバレを含みます)
 三千院家のペット、猫のタマはみんなの人気者。

 アナコンダが逃亡したニュースに眉をひそめるタマのご主人さまナギちゃんも、実質上のしはいしゃマリアさんもタマを撫でていれば上機嫌。かわいがられてタマもニャ―ンニャ―ンと幸せそうです。

 でも、そんなタマにもいじわるをする人がいます。
 去年の冬、この家にやってきた綾崎ハヤテ君という執事です。
 ハヤテ君は、ゆうかいというとっても悪いことを皮切りに上手いことたち回り、まだちっちゃいナギちゃんに沢山のお金を払わせたひどい少年なのです。
 
 ハヤテ君は今日もタマにいじわる。
 とても大人しくて人懐っこいタマを、危険な動物だと嘘をついて屋敷から追い出そうとしたのです。

 タマはとても悲しくなりました。
 タマは、自分が何を言われたっていいのです。そんなことを言うハヤテ君のことが悲しくなったのと、どんな言葉も信じてしまうナギちゃんやマリアさんがハヤテ君にだまされてしまうのではないかと心配なのです。
 ハヤテ君となかよくしたい。
 その一心で、タマはハヤテ君を体育館の用具室に呼び出しました。すえた匂いのするその部屋はいじめっこのメッカでしたが、タマには全然そんなつもりはありませんでした。
 バンと壁を叩いたのもハヤテ君のためでした。一生懸命、ハヤテ君を説得しているうちに、つい力がはいってしまったのです。
 タマは何度も何度も言いました。
‐‐嘘をついちゃいけないと。
‐‐自分と仲良くしようと。
‐‐態度をいいかげん決めないと、そのうちエライ目に会うと。
‐‐女装してくれたら五万でどうよと。

 けれどもハヤテ君は、タマの説得にも、耳を貸しませんでした。 
 どんな人でも、自分の耳に痛い言葉は受け入れがたいものです。

 タマは自分の言葉がハヤテ君の耳に届かなかったことがわかっていたので、悲しい気持ちのままでした。
 そんなときに、タマが思い出してしまうのは、ナギちゃんとマリアさん、そして自分だけの楽しい日々。
 「だめだ、だめだ。そんな甘いことを考えちゃいけない。ハヤテ君だって、好きであんな態度をとってるんじゃないんだ。それに--」
 と、そこにシラヌイがとおりかかりました。
 シラヌイはある日ハヤテ君が拾ってきた猫で、タマのもう一つの悩みでした。
 黒いその体毛と同じく、考え方も真っ黒なシラヌイは、いつもいつもタマをいじめてくるのでした。
 そんなシラヌイも、ナギちゃんには小さな体のせいかとってもかわいがられていました。
 タマは、もっと悲しくなりました。
 僕だってもっと小さくて、スモークチーズとかが大好きでニョローンとか言えればもっと人気者になれるのに。タマはそう思ったのです。
 でも、タマは今でも十分にデフォルメ体型でしたし、スモークチーズもあまり好きではありませんでした。ビールのおつまみにマリアさんが食べていたのをちょっと齧ったのですがとても口にあいませんでした。ビールもついでに飲んでみようかと思いましたが、それはシボウふらぐのように感じられたので飲みませんでした。
 とにかく、タマにはちょっとだけシラヌイがうらめしく思えましたが、タマのそんな気持ちもシラヌイが遊びたそうな顔していることで吹っ飛びました。
 そうだ、一緒に遊んであげればシラヌイとも仲良くできるにちがいない。
 タマは、シラヌイと鬼ごっこをはじめました。
 
 タマはがんばって追いかける。シラヌイもがんばって逃げる。
 それはとても楽しい時間でした。
 でも、そんな楽しい時間がすごくつらいことになってしまいました。
 トラックが止まっていたのです。
 そのトラックはナギちゃんが頼んだ商品を届けにきたのですが、予定より十日ほど遅れていましたし、その商品にはナギちゃんが欲しく欲しくてたまらなかった初回特典もついていませんでした。

 それはともかく、シラヌイはトラックのコンテナに入ってしまいました。
 いけない。タマも、シラヌイを逃がしてあげようとコンテナの中に入りました。
 コンテナの中は、シラヌイをちまつりにあげるにはちょうどいいぐらいに狭かったのですが、もちろんタマはそんなことを考えませんでした。
 シラヌイを助けてあげようとするとバタンとドアが締まる音がして、周りが暗くなりました。

 ブロロロ…
 
 という音がして、タマはどこか遠いところへ行くことになってしまいました。


 タマは、真っ暗な中で夢を見ました。
 夢の中でタマは、ずっとずっと昔の、お母さんをなくしたころの今よりもずっと小さいタマでした。
 その時のタマは、とてもとてもお腹が空いていました。だから力も入りません。小さな小さなナギちゃんも、ないすばでぃ四歳児ジェニーも、動物園のアイドル面してるくせして肉食獣をはじめとする自分を狙うケモノにも、誰にも反応できませんでした。
 ああ、こんなところで死んでしまうのかな?
 タマは悲しくて悲しくてしかたありませんでした。どうせ食べられるにしても、普通の女の子に本編とは関係のないギャグシーンとして焼かれて食べられたかった。
 そんなMの極み的なことをタマが思っていると、ナギちゃんがタマを持ち上げました。 
 
「こい!! さっさと逃げるぞ!!」

 タマは小さかったのですけれど、ナギちゃんも十分に小さかったので持てば、それだけ逃げるのも遅くなってしまいます。それでも、ナギちゃんは、

「なに心配するな。お前は私が必ず、助けてやる」

 と置いていこうとしませんでした。 
 タマは、もうしわけなくて、でもとても嬉しくて泣きそうになりました。
 その後、どうしたことかタマもナギちゃんも助かりました。
 気がつくと、伊澄ちゃんというアフリカには場違いな着物姿の女の子もいました。
 その伊澄ちゃんとジェニーのおかげで、タマは猫ということになりました。
 ナギちゃんの腕の中で、タマは不安でした。
 いまは助かったけれど、お母さんがいなくてこの先どうしたら生きて行けるのだろう。
 そんなタマをナギちゃんが高く持ち上げました。

「今日から…この三千院ナギが…お前の母親になってやる。お前は私が………絶対守ってみせるよ…」

 タマは、とても嬉しい気持ちになりました。
 こうして、タマはナギちゃんのペットになったのでした。



 夢から覚めると、タマは見知らぬ海にいました。
 波飛沫がタマの毛をぬらします。
 ここはどこだろう? そうだ、警察のお兄さんに頼んでみよう。
 それはいいアイディアのように思えました。おそらくは、三千院家は多少の申告漏れはやってるにしてもとてもとても多額の税金を納めているはずです。それならば、ペットであるタマのために護送用のトラ用リムジンの一台や二台つくってもいいはずです。
 でも、現実はタマにはとてもきびしいものでした。
 アナコンダは警察に射殺されてしまったのです。危険な動物はトラもクマも射殺。現代社会の歪みをまざまざと見せ付けられてしまったタマの冒険がはじまるのでした。













管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://bbkiriblog.blog70.fc2.com/tb.php/249-068edbd1

ハヤテのごとく!136話(伊澄さんって本当に優しい子だねと言う妄想とハム沢さんのターンはきっと来週やって来ると言う妄想w)
7月18日(水)今週もハヤテのごとく!の感想を更新するわけです。そしてレンジマンの休載でハヤテのごとく!が読めるアリガタサを感じるわけですね。。。。・゚・(ノД`)今週のハヤテ!は「私が助けてやる!」と母親を亡くしたばかりのナギの心境が涙を誘う場面から始め

2007.07.19 21:16 | 麒麟の未来日記

ハヤテのごとく!136話【なんだかんだで自分ちの猫が一番かわいい】畑健二郎
 愛猫争いとは、客を招いて膝乗りすることでもなければ、 毛玉を練ったり、喉を鳴らしたり、昼寝をしたりすることでもない。 そんなお上品でおっとりとした、雅やかなものではない。 愛猫争いとは暴力である。 一つの品種が他の品種を打ち倒す、激烈な行動な....

2007.07.20 21:52 | 360度の方針転換

ハヤテのごとく! 136話感想
 なんか、あんま、おもろくない。 なんとなくだけど、事前情報が余計な方向に働いちゃってるケースその一だと思う。 一巻のキャラ紹介タマの部分で、「人語を解すようになった理由」とか「ナギが猫と言って譲らな

2007.07.21 02:13 | くるくるばたばた

ハヤテのごとく!第136話-子供の頃のナギはずいぶんまともだったと思う
アニメに注力しすぎるとまんがのほうまで頭回んないス 今回、猫と呼ばれてるトラにスポットライトが当たりました。 普通のサバイバルじゃ物足りんので、再び西沢家に言ってみてはどうでしょう ところで、サンデーのドラマCD「轟轟生徒会タンケンジャーVS恐怖のドンペリ怪人

2007.07.23 01:27 | テレビっ子フリーダム-甘口アニメ部門