しっぽきり

 刺さるというか刺される感じの映画。

 各藩の江戸屋敷には、屋敷の庭先を借りて切腹をしたいと訪ねてくる浪人が絶えなかった。庭先で切腹をされては処置が大変である各藩はその心がけを褒めるという形で金を渡していた。訪ねてくる浪人たちは実質強請のようなものであった、そこにまた一人の浪人半四郎がやってきて……というお話。

 前半はやってきた浪人半四郎を追い払うために、上記の事情を説明するためも兼ねた以前切腹したある浪人のエピソードが語られます。食い詰め浪人たちがやってくるのを絶つために、実際に切腹させた。
 そのやり方が、持ち上げてから落とす、刀を持っていなかったため竹光で切腹をさせる。

 残酷なやり方だなと思いました。ただ、切腹させる方が残酷だと思っているわけで。この時、切腹させられた方については、藩側の「庭先で切腹とか強請みたいな事されては迷惑」という言い分がそのまま適用されていて、情けない浪人としか思っていないわけです。その不用意な見ている側の価値観が半四郎の語りに刺される。
 浪人は半四郎の娘婿であり、病気の妻のために仕方なくやった事だと。もちろん他の浪人も食い詰めて仕方なくという事情があったのかもしれませんが、具体的な事情を知らされる事によって、大きく認識は転換してしまう。
 この構成、そして、後の解釈人に指定した藩士がことごとく出仕していない、それは半四郎が髷を切り落とすという武士にとって大きな屈辱を与えていたためでそれを露見させないために病気を偽って表に出てこれない=うわべだけの武士道と繋げる展開、そして、結局、冒頭と最後に、今回の事件が覚書としてまとめられているのですが、そこには何も真実は残っていないという落とし方も、本当に見事でした。












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