しっぽきり

○マリポーサ編の朝

 王位継承トーナメント1回戦、正義超人界の要職についたテリーマン、ロビンマスクに対する配慮からキン肉スグルはその従者ミートと2人でマリポーサチーム5人を倒すという絶望的な戦いに挑もうとしていた……。

 はーい、カットカット。
 2人ってなに? おかしくなーい?
 テリーマンとロビンマスク。要職に就いたんで頼めない、分かる。
 ウォーズマン、死んでる。無理。
 ラーメンマン、正体バレとかあったしね、しゃあないしゃあない。
 アシュラマン、タッグマッチ直後じゃポジションハッキリしてないしね。
 バッファローマン、ロングホーン返してないし、頼みづらいよね。
 ジェロニモ、ブロッケンJr、アイドル超人軍団ではあるけど、今まであげてきたメンツとは違って対戦経験ないし、友達の友達? みたいな、自分の王位のために戦ってくれとは言いづらいよね。仕方ない。
 あれ? ほかにいない? ミートと2人で戦うしかない?
 いや、いる。
 役職に就いてなくて、対戦経験もあって、同じ国出身で、命まで投げ出せるナイスガイが。
 そう、ウルフマン! アニメではリキシマンになっちゃったアイツがいた。
 というわけで、本記事はウルフマンがなぜ王位継承編でキン肉マンチームに入るべきだった! と主張する記事




 ではありません。

 まあ、2人で挑む絶望感(+ミートのデビューというサプライズ)と、ウルフマンとかカレクックとベンキマンとジェシー・メイビアでフルメンバー揃えて対戦。天秤にかけてどっちの面白さ取るっていったらそりゃあねえ?
 そもそもゼブラ戦前の、無限の輪のときも名前が挙がってないし。
 そんなわけでウルフマンが王位継承編で、邪神を投げ飛ばす(それはそれですごいな)だけに終わってしまったのは仕方ないことです。残念残念。話はこれでおしまい。






 でも、本当にそれでいいんだろうか。


○日本の怪童

 ウルフマン。
 登場を思い出してみましょう。
 キン肉マンたちがラッカ星に行っている間にデビューした超大型新人。
 超人オリンピックでの戦績は、ラーメンマン・テリーマンと同じく準決勝進出(厳密に言えばザ・ビッグファイトには3位決定戦はありませんでした)、後のタッグパートナーであるブロッケンJrを完全に上回ります。7人の悪魔超人編で、キン肉マンの代わりに悪魔超人との戦いに名乗り出たウルフマン。
 アイドル超人軍団の初期メンバー。なぜ彼は、王位継承編でキン肉マンのチームメイトというポジションを得られなかったのでしょうか?


○スグルチームとアタルチームの事情

 王位継承編で大会に参加した既存超人は2つのグループに分かれます。(サムソン・ティーチャーは別として)
 1つは主人公キン肉スグルチーム。もう1つはその兄であるアタル(ソルジャー)チーム。ということは、ウルフマンが入れるとしたらこの2つのうちのどちらかのチームになるでしょう。
 このうち、表ルートと言えるのはやはり前者、キン肉スグルチームでしょう。
 テリーマン、ロビンマスク、ラーメンマン、ウォーズマン、ネプチューンマン、ジェロニモ。ジェロニモはちょっと微妙な感じもしますが、テリーマンはタッグ編、ロビン・ウォーズマンは超人オリンピック決勝戦、ネプチューンマンはタッグ編決勝戦、ラーメンマンはモンゴルマンとして7人の悪魔超人戦でのタッグマッチや悪魔将軍戦のレフェリーと各シリーズの最終戦に直接的あるいは間接的に関わってきた強豪超人です。
 対して裏ルートとも言えるのが、アタルチーム。
 悪魔超人からの転向組であるバッファローマン・アシュラマン、若手の有望株であるブロッケンJr、そしてザ・ニンジャ……ザ・ニンジャ?
 生き返ってるのは、まあいつものことだからおいとくとしても、アシュラマンみたいな相応のイベントも無しになぜ参加しているザ・ニンジャ? サンシャインでなく、なぜニンジャ!?
 とは言ったものの、なんか描きやすそうというか、描きたくなる要素が多そうというので、なんとなく納得はするんですけどね。
 あとアタルの度量みたいなものを示すのに、悪魔超人あたりからもスカウトしてみるという目論見もあったでしょうし。
 ザ・ニンジャは完全に別枠、つまり繋がりとか友情とか関係なく飛び込んできたサプライズ枠と見ていいでしょう。
 ということで、実力的に入れる枠は2つ。キン肉マンチームでは格落ちするジェロニモと、かつてタッグパートナーだったブロッケンJrの2枠です。

○ジェロニモとウルフマン、そして継承の儀式

 ジェロニモ。サンシャイン戦での番狂わせの勝利後、タッグ戦では足手まとい扱い、王位継承編では明らかに分が悪いオメガマンにやっぱり敗北、新シリーズでは戦いを仕掛けるも一蹴されると、正直かませ犬街道まっしぐらです。
 ウルフマン。アイドル超人として臨んだ、スプリングマン戦で最初の犠牲者となり、タッグ編では突如乱入してきたケンダマンたちの餌食になる。こちらもなんというかまあ、かませ犬です。
 2人はかませ犬。ならばウルフマンがキン肉マンチームに入っても問題あるまい!
 と思いたいところですが、ジェロニモは勝っているのです。サンシャインに、人間の身で。ウルフマンはスプリングマン戦で負けてしまっている。
 悪魔騎士編後半にピークが来たジェロニモと、それ以前にピークが来ていたウルフマン。ポイントを稼げない、つまり惰性で最後まで走りきる勝負ならば、見せ場が後半に来た方がキャラ寿命としては有利。また2人が参加した超人タッグトーナメントでも、ジェロニモは曲がりなりにもちゃんと試合ができたのに対して、ウルフマンは乱入してきたケンダマン達にあっさりと(週をまたいでいるものの、ページ数にすると1週に満たないページ数で)敗北してしまいました。
 邪神投げを除くウルフマンの「スニゲーターにより命を落としたキン肉マンに命を渡して生き返らせる」という見せ場の直後、ウルフマンはジェロニモに自らの髷を渡しました。今、考えるとあれはジェロニモのキャラを立てると同時に、あの時点では意図されていないながらも継承の儀式だったのかもしれません。あまり有り難くない、かませ犬という役割の。

○もう一人のモストデンジャラス、ブロッケンJr

 ウルフマンとブロッケンJrはアイドル超人軍団の初期メンバー。そして、モストデンジャラスとして超人タッグトーナメントに参加も乱入してきた完璧超人2人にあっさりと敗北。
 こう書くと、扱いとしては同格に見えます。
 しかし、違うのです。2人には決定的な差があります。
 間に挟まる悪魔超人編で2勝をあげたブロッケンとスプリングマンに衝撃的な敗北を喫したウルフマン。そして、戦績だけではなく、ストーリー上抱えた因縁においても違いを抱えていました。
 ブロッケンJrはJrが示すようにブロッケンマンの息子です。そして、ブロッケンマンはラーメンマンに殺されました。ここで因縁が発生します。初登場時点から復讐を意識し、直接対決の後、2人はロビンとウォーズマンのような直接的なものではないにせよ、一種の師弟関係(あるいは疑似親子?)とも言える関係になっていきます。そして、ブロッケンマンの息子として出てきたキャラクターであるという事実は、彼に若さを、延びしろを持った超人であるというイメージを与えました。
 対してウルフマンは誰との因縁を持っているのでしょう?
 キン肉マンか? あるかもしれません。命もあげました。ただ、キン肉マンは主人公。もっとも試合をしている人間で、あちらこちらに因縁を持っているキャラクターです。強調材料にはなりません。
 髷をあげたジェロニモか? これは有望、と思いきや、あの野郎、思い出してくれません。ウルフマンはそんなことを思わないかもしれませんがあげ損です。そもそもジェロニモとの因縁って何かの役に立つんだろうかという話でもあります。
 もちろんそれだけが原因とは言いませんが、ストーリー上、どちらを優遇するかと言えば、それはブロッケンになってしまうのも無理はないでしょう。


○キン肉スグルはウルフマンを誘わなかったのか?

 さて、ウルフマンが王位継承編でキン肉マンチームに加入しなかったのが納得できないかと言われれば、ちょこちょこ言及してきた
通り、「まあしょうがないよね」というのが正直なところです。アイドル超人軍団結成時点では、純粋な数の問題もありウルフマンはせいぜいスペシャルマンやカナディアンマン、あるいはスカイマンあたりに優位性を示せばメンバー入りできました。ところが、ラーメンマンの復帰、ジェロニモやバッファローマンの正義超人入りでメンバーが増えた中でそれを続けることは困難になっていく。なんら不思議な話ではありません。
 アイドル超人軍団が拡大の傾向を見せ始めた悪魔騎士編で、ウルフマンはキン肉マンに命を差し出しました。美しい友情のシーンです。ウルフマン、最大の見せ場と言えるかもしれません。ただ、これで超人として活躍する機会を失ってしまったことも事実です。シリーズが変わればフレキシブルに生き返ったりするキン肉マンですが、同一シリーズの中での生死はそこまで自由ではありません。一度死んで一線から退場してしまえば、復帰は相当に難しいことです。
 悪魔超人までもが参戦した新シリーズでもウルフマンのまとまった出番はまずないでしょう。
 
 キン肉スグルはウルフマンを誘わなかったのか?

 その答えは、イエスであり、しかしある意味ではノーです。
 王位継承編にウルフマンが参戦することはなかった、イエス。
 キン肉スグルはウルフマンを忘れていったのか? 何一つ声をかけなかったのか?

 断じてノーです。


「そうだーっ
 こんな汚ねえ場所だが
 楽しい時苦しい時の
 思い出がいっぱい
 つまってるんだぜ」

 ブロッケンとその他でまとめられたにせよ、一番勝負が短かったにせよ、

「くらえーっ
 これがワシの結婚祝いだ~っ!!」

 結婚式前のスパーリングに誘われたのですから。












管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://bbkiriblog.blog70.fc2.com/tb.php/2137-05334e1e