しっぽきり

 、世界一の科学者ナゾー様の正体が明らかになる第三話
 ナゾー様四つの目の秘密。
 左上目の赤い目から出る光線は、すべての物を焼き尽くす。
 左下目の黄色い目から出る光線は、すべての物を凍らせる。
 右下目の緑の目から出る光線は、すべての物を石のように硬くする。
 右上目の青い目から出る光は光線は……説明なかったけど、描写から見るにすべての物を破壊する?

 はたしてその正体は?

 そんな世界征服を目指す科学者ナゾー様は非常です。
 とある日、平和な山々を世界征服の拠点とすべく選んだ土地で、住民たちに労働を始めさせました。ナゾー様は非情なる悪のカリスマです。働けば幸せになれる、泥と糞にまみれた生活から抜け出せると住民たちを騙し、信じないと気付くや脅迫し、科学力はあるはずなのに、基本的に人力で作業させる鬼です。日照りの日も、吹雪の日も働かせます。季節が変わるレベルの長期間とは思ってもみませんでした。そりゃ、ミサイルの発射台もできれば工場もできます。それはともかく、脱走も許しませんし、反抗してきたり、役に立たなくなった農民は整理です。
 その整理に使われたのが、高速電子分解装置。一室に閉じ込めて、装置を作動させると、室内の人間は一瞬にしてこの世から姿を消してしまうのです。おそろしいもんですなあ。というか、やってることが……。
 そんな恐怖の科学者ナゾー様の切り札が、人間タンク、大ロボット、ゲーゲーオルグ。
 高さは二〇メートル、原子エネルギーで動き、空を飛べば海も泳ぐ。その武器、原子砲はビルの一つや二つ破壊してしまうのです。肉弾戦で破壊してたけど。
 ともかく、現代のジンギス・カン、世界の独裁者、それがナゾー様なのです。
 
 ナゾー様の野望の影で、父親を奪われた少女ナタールがいたような気がしますが気のせいでしょう。フォローもなかったし。
 そんなナゾー帝国予定地での作業中、とある小さな事件が起こりました。

「小僧、それは反重力物質と言って大事な物だ。落とすなよ」

 黒マスクの監視員が急かすと、それを持つ少年が反抗的な目を向けてきました。大事な反重力物質が運ばれてなくて、ナゾー様の野望の成就が遅れてしまう。監視員は怒りました。「早く歩けぃっ!」そして鞭打ち。ピシイッという音が鳴りました。
 叩かれた反重力物質から。
 反重力物質のスイッチが入り、少年は空へ。
 それを見ていたナゾー様ですが、さすがに大人物です。「あんなもの一つぐらいなくなっても構わん」とあわてる部下をたしなめます。それでも落ち着かない部下マゾに、もう一度「構わん」と言い切りました。
 そんな少年が、おなじみヤマトネ博士の駆るスーパーカーに発見、回収された上に、計画やら場所やらがバレてしまいましたが、明らかにヤマトネ博士が異常な幸運を発揮しただけで、ナゾー様に責はありません。
 そんな奇跡的な果報者、ヤマトネ博士の報告を受けて開催された国際連合科学者会議。
 そこでヤマトネ博士は、ナゾー様の正体について言及しました。
 ナゾー様の正体、それは四〇年前に世界一の科学者と呼ばれたエーリッヒ・ナゾーだったのです。
 驚く科学者達に、ヤマトネ博士は続けます。

 「前の世界大戦争で、世界を征服しようとした国のために働いて、その時死んだとばかり思われていました。ところがうまく生き延びて、どこからか手下を大勢集めて今四〇年ぶりに世界征服を企てています」

 ナゾー様が生存していたこと、そして恐ろしい計画を知った科学者たちですが、にわかに信じようとはしません。それもそのはず。常識的に考えれば、そんな都合のいいような悪の科学者なんているわけないのです。
 しかし、ナゾー様はそれをやり遂げました。
 脱出してきた子供の証言もあること、そして何より反重力物質を見れば、科学者たちも信じるしかありません。
 そして、なぜか司会が一科学者であるヤマトネ博士に世界征服を企むナゾー様と戦うように要請し、それがそのまま通ってしまいました。
 そんなわけで、ヤマトネ博士、その息子、たまたま海で拾って以来なぜかついてくる少女マリー、情報をくれた坊や、元気をつけるためにはバナナをたくさん食べろのダレオ君を乗せたスーパーカーは九〇度回転してナゾー基地のある中近東に向かうのでした。

 ナゾー様も「なかなか理想的にできておる」とご満悦の地下工場兼格納庫を兼ね備えたナゾー基地はめでたく完成しました。
 そして、ナゾー様は世界征服の最初の血祭として、住民たちを整理することにしました。そう、生かしておけば基地の秘密、ゲーゲーオルグ、ナゾータワーの秘密を漏らすかもしれないのです。情報漏洩がどんな重大事なのかナゾー様は知っています。些細な情報が、致命的なミスにつながるナゾー様は心得ているのです。そんなミスは、断じて犯しません。
 整理するのは午前二時半とナゾー様は支持し、受けて忠実なる部下マゾは部屋に集めるのは二時二〇分、集め始めるのは二時ぐらいと判断しました。
 ところで、奇遇にも誰の判断ミスかはわからないものの、ナゾー様の情報を得たスーパーカーの到着予定時刻も午前二時。ついでに言うと、薄々空気を察した住民たちの脱走予定時間も午前二時でした。
 まず最初に動いたのは住民たちでした。丸太で居住スペースの扉を叩き破ると、山へと一目散。事態にあわてながらも、監視員たちも銃を放ち、必死に足止めしようとします。そこに現れたのが、ナゾー様をこらしめるなどと身の丈知らずな口をたたくヤマトネ一味。三方に逃げる住民を援護するヤマトネ一味。スーパーカーから放たれる謎のビームが監視員を撃ちます。

「ええい、空から来た変な乗り物を撃ち落せ」
 
 ナゾー様の指示にナゾータワーから砲撃。
 その砲撃にダレオ君は怯えて「引き返そう」といいますが、坊やはお父さんたちを助けるためにナゾータワーを撃ってと泣きつきました。しかし、ヤマトネ博士の返事は彼には辛いものでした。「スーパーカーには武器を積んでいない」そう言うのです。坊やが、「何いっとるんコイツ」と戸惑う中、マリーがこんなことを言い始めました。

「あの時祈ったら、コウモリさんが現れてくれたわ。今度もきっと黄金バットさんが助けてくれる。お願い、コウモリさん助けて」

 祈る少女。「何いっとるんコイツ」と坊やと戸惑いを深くしましたが、しかしマリーさんには実績がありました。彼女は、過去二回、命の危機に涙を流し、その度に、黄金のコウモリとともに、黄金バットと呼ばれる超人に助けてもらっていたのです。
 そして、祈りは今回も叶えられました。というか、涙を流さなくとも来てくれるあたり、ちょっとシステマチックになってました。

「ハハハハハハハ!」

 夜空に響く高笑い。
 赤いマントに黄金の体、そして黄金のドクロ。
 その名は、

「正義の味方、黄金バット」

 でした。三回目。にして初の自己紹介というか、初めてしゃべりました。
 空を飛び、監視員を跳ね飛ばし、大砲を破壊します。
 それに対抗するのは?
 そう、ナゾー様の秘密兵器、ゲーゲーオルグです。
 反重力物質でできたロボットゆえの軽い足音で黄金バットに迫り、そして――ゲーゲーオルグの右腕があっさりとたたき折られました?
 変なことになってしまいました。
 それでもナゾー様です。ナゾー様の科学力なら、

「ちくしょう。残念だ。しかし、ここが知られたのならこの地に用はない。ナゾータワーは南極の基地に引き上げるナゾータワーに一同引き上げの用意をさせよ。ロォオンブロォゾ」

 どうにもなりません、ていうか、え? いや、ナゾー諦め早すぎね? ていうか、ロォオンブロォゾって結局、何?
 飛び立つナゾータワー。掴まるゲーゲーオルグ。しかし、黄金バットは逃がさず、ゲーゲーオルグの腕をすっぱり。豆腐装甲なのか、腕を切り離され墜落するロボット。しかし、スーパーファミコンのボタン顔は、反重力物質は持ってるから大丈夫、もっとすごいのが作れると言い張るけど、その反重力物質が流出するの見逃したのって……。
 それはともかく、ナゾー基地にゲーゲーオルグがドスン。大爆発。こうして、ナゾー基地が壊滅すると同時に、周りにいた住民たちも巻き込まれたものの、黄金バットが自作自演的に助け出し、流れ的にヤマトネ博士が感謝されたり、いや黄金バットのおかげですと謙遜というか、ほぼ事実をヤマトネ博士が述べたりするのでした。
 とどのつまり、何だったかというと、強い! 絶対に強い! ということでした。












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