しっぽきり

 曇天を行くグール。最後のチャンスだというブロッケンに、腹を

掻っ捌いてでもと答えるあしゅら男爵。

 揺れる城。石像たちが動き出す。
 城の制御を奪ったのは、兜剣蔵の影。
 彼の姿に、匕首を抜くつばさ。下手に動くなと止めるシュトロハ

イム。剣蔵は、ドナウを渡すように彼に告げる。しかし、返事はN

O。そして、腕に仕込んだマシンガンで抵抗。つばさも、匕首で。
 生き返った剣蔵。兜の家はどこまでも自分の邪魔をする。だから

、シュトロハイムは息子であるシローを使っての復讐を求める。
 その声は、シロー達の耳にも届いていた。疑念を持ったシロー、

ローレライにシュトロハイムの研究内容を尋ねる。
 彼の研究は、心を持ったロボットを作ること。
 ロボットに判断させ、人が操る手間を省けばより速く動ける。
 それを悟ったからこそ、十蔵は自分を殺したとシュトロハイムは

語る。
 死体となった彼は、ヘルによって蘇り、ドナウを教育してきた。
 最後に一つ足りないもの。それは、自分にとって大切なもを失っ

て初めて分かるもの。それは与えることができなかった。
 それがシローになんの関係が?

「ならば私が教えてやろう」

 とうとう城に乗り込んだあしゅら男爵と機械獣。
 剣蔵の影を出現させたのは、ガミアに剣蔵のプログラムを仕込ん

だのは、あしゅら男爵。くろがね屋でガミアをやられたことを考え

て、仕込んでいた。
 そして、城が壊れ、ドナウが現れる。その胸には、ローレライの

顔が。
 起動スイッチはバードスの杖。
 ローレライがあしゅら男爵に操られ始め、そして同時にパイルダ

ーの修理が終わる。
 シュトロハイムは、ローレライを追う。つばさに何事かを託して


 つばさ、ローレライとシローの元に駆けつける。
 壁が崩れて彼女達を襲う。
 しかし、間一髪クロスが壁を支え、そして、超合金の腕でそれを

砕き、脱出する。そして、ガミアが目覚め、暗黒寺に聞き覚えのあ

る声で喋る。



 シュトロハイム、あしゅら男爵に追いつく。返してくれるように

頼む。認めつつ、ドクター・ヘルのおかげでドナウを作れたことを

未完成のドナウを返してくれるように頼む。ドナウを史上最強のロ

ボットにするために、十蔵に勝つために。
 しかし、今のドナウで十分と答える。
 シュトロハイム、話もこれまでと光線を放つが、あしゅら男爵の

バリアに防がれ、逆に反射した光線を喰らう。
 


 ドナウから落下するシュトロハイム。ローレライ達が駆けつける


 シュトロハイム、再びの死を予感しつつ、ローレライに隠された

真実を、

「ローレライ、お前は私の娘ではない」

 真実を、

「人間でもない」

 ローレライこそが、本当のドナウα1であると告げる。
 十蔵との決着をつけてからヘルに渡すつもりだった。しかし、感

情を植えつけようとする年月の中で、本当の娘のように愛してしま

った。
 愕然とするシロー。
 ドナウこそがローレライの体。
 ローレライこそがドナウの頭脳、そして心。
 しかし、一つ足りないものが一つ。
 つばさが告げる。
 悲しみ。
 親となってしまったシュトロハイムには、ローレライに幸せしか

与えられなかった。

「そこで、シローを使うことを思いついた」

 仲良くなったシローに不幸があれば、ローレライは悲しむに違い

ない。
 ローレライの頬を涙が走る。
 シローの命ではなく、シュトロハイムの命が消えることによって


 シュトロハイムは最後に願う。
 
「マジンガーZを倒すのだ」

 十蔵との勝負をつけ、ドナウの優秀さを世界に知らし目、シュト

ロハイムの名を不滅のものにするために。
 雨が止み、川が平穏を取り戻す。

「やります」

 ローレライは立つ。命をくれた、人間として愛してくれたシュト

ロハイムのために。
 
「あたしはマジンガーを倒します」

 シュトロハイム、ローレライにリボンを引き抜くように命じる。

それが、ドナウとの合体装置だと。

「はい」

 「だめだ」シローは叫ぶ。それを取ったら人間でいられなくなる



「だからやめるんだ」

 しかし、ローレライは迷わない。憎しみをこめた瞳でシローをに

らみ、言い放つ。

「兜の家は口を挟むな」

 引き抜かれたリボン。そして、ローレライが光りだす。ドナウが

バードスの杖を無視し、ドナウが止まる。そこに、ローレライが飛

び込む。
 ドナウの顔の瞳が光る。ドナウの体が変色する、青く流れるドナ

ウの色に。
 ドナウの手が、ドナウの足が、ローレライの物に。
 ローレライがドナウα1になる。
 そして、ドナウα1は父との平穏を破り、あまつさえ父を殺した

あしゅら男爵を糾弾し、駆逐する。

「なあ、つばさよ。一つ頼みがある。
 もう生き返らせないでくれよ」

 自分の研究を優先するのが科学者の業。
 つばさは言う。ドナウを見せ付けたかったのは、世界ではなく自

分にだと。
 しかし、勘違いが一つある、とつばさは言う。
 シュトロハイムを殺したのは、十蔵ではなくつばさ。
 自分には十蔵の作るマジンガーZが必要だったと語り、つばさは

シュトロハイムから離れていった。
 
 向き合うマジンガーZとドナウα1。
 父の名に懸けて、マジンガーに決闘を申し込むドナウα1。

「やめてくれよ」

 搾り出したシローの声は、しかし届かない。
 マジンガーとドナウの戦いは避けられない。
 ドナウが勝てば甲児とマジンガーを失う、マジンガーが勝てばド

ナウの心である彼女を失う。
 しかし、戦いは始まる。
 ドナウのミサイルをマジンガーが受ける。
 マジンガーのロケットパンチをドナウの鞭が掴み、マジンガー自

身にそれを喰らわせる。
 甲児はドナウの素早さに驚き、理解する。彼女自身の意思が直接

反映されているからこそ、ドナウは素早いのだと。
 ルストハリケーンが跳ね返され、戻ってきた腕を解かされる。
 ブレストファイヤーを押し返される。

「やめてくれ」

 元に戻ってくれとシローが叫ぶ。
 ドナウは答える。それは無理だと。

「私は完全にドナウの一部になったの。もう人間には戻れないの。

だから、だから……」

 鞭がマジンガーを持ち上げ、叩きつける。
 しかし、鞭を捕まれ、ローレライはマジンガーに捕らえられる。

「シロー君、ありがとう。友達になってくれて。
 シロー君、ありがとう。優しくしてくれて。
 でも、でも、マジンガーとの戦いは止められない」

 甲児を殺すことになろうとも、シローに嫌われることになろうと

も。

「それが命をくれたパパの願いだから」

 引っ張られた鞭が砕け、同時にドナウの頭部も引き抜かれ、その

頭部が、ドナウの胸の顔に叩きつけられる。

「ローレライ! ローレライッ!!」
 
 爆発、そして歯車が止まる。
 
「馬鹿野郎。マジンガーの馬鹿野郎」

 半壊した顔が、繰り返すのは「シロー」と小さく、音を立て続け

る。
 再びかすかに動き出した歯車が、ただただ、ささやくように、歌

うように、シローにローレライの声を届ける。

 それが、シローの初恋の終わりで、悲劇の終わりだった。












管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://bbkiriblog.blog70.fc2.com/tb.php/1083-2cf9e27b