しっぽきり

 マジンガーZは警察の監視の元に置かれていた。
 しかし、パイルダーは行方のしれないまま。警察が捜索しているものの、弓博士の気がかりは消えない。
 警察署では、暗黒寺は甲児を問い詰めていた。しかし、甲児にはパイルダーの記憶はない。
 ないものは答えられない。口を割らない甲児。そばにいた警官にシローを連れてくるよう命ずる暗黒寺。
 自分を喋らせるために、シローを使おうとしていることに気付き、吼える甲児。
 一方、シローは目覚める。
 暗い部屋の中。誰かいないかと声をかけてみても返事は無く、見渡せば眠った警官。呆れるシロー。しかし、あることに気付く。床に血が流れている。
 そして、再び気付く。警官が寝ていたのではなく、死んでいたことに。
 近づいてくる声。暗黒寺にシローを連れてくるように命じられた警官達。
 漏れ聞こえたのは、兄のかわりに自分が尋問されるという事実。
 逃げなきゃ。
 慌てて窓に駆け寄るシロー。しかし、地面は遥かに遠く、飛び降りられそうにない。
 愕然とし振り向けば、扉にはガラス越しに二人の警官のシルエット。
 そして、扉は開かれた。


 
 
 ボス達は、マジンガーの近く。廃墟となったビルに隠れていた。
 マジンガーに兜は乗っていた。そのマジンガーの側にいれば兜が来る。そこでもう一度彼と戦えばいい。さすがボスと誉めそやす部下二人。それが彼の世界。
 
「そぉりゃおもしれえな。だが、今はやめときな」

 しかし、彼らとは違う世界の住人が彼らを止める。
 拳銃を突きつけるメキシカンハットの男。声を出すなと三人を脅す。


 
 消えてしまったシロー。
 多少の怪我はかまわないから、探し出すよう命じる暗黒寺。その焦燥は、かかってきた電話を無視するどころか、電話機自体を狙撃して破壊するほどに荒いもの。
 テーブルの下に隠れていたシローは必死に声を押し殺す。
 電話をかけてきたのは弓博士。
 繋がらないことに疑念を深める弓博士。その一因が熱海にはいるはずのない人数の警官達。
 警官達が溢れる旅館。
 止める老婆も聞かずに、一人の警官が一室に踏み込む。
 そこには、誰かが寝ている布団。
 起きるように命ずる警官。
 命じられたまま起き上がる誰か。

「はっ。お前は!?」
 

 
 
 弓博士は、パイルダーのない今の機械獣対策としてアフロダイAを出動させる。マリーナーに向かう。
 報告を受けた暗黒寺は、パイルダーとシローの探索が優先と放置する。
 廊下に潜むシローは、甲児の声を聞きつけ、甲児が閉じ込められた牢屋に辿り着く。
 甲児を救い出そうと、牢屋の錠前に手をかけるシローは、この警察署の異常性を訴える。鍵は開かない。シローに逃げ出すように説得する甲児。
 そして、現れる暗黒寺。
 逃げ出すシロー。追う暗黒寺。追跡を妨げようと、牢屋の隙間から伸ばした甲児の手が、暗黒寺の顔にかかり、そして皮膚が破れ剥がれ落ちた。
 同時刻、くろがね屋の客室。

「おはよー」

 警官達が発見した人間は、寝ぼけた暗黒寺刑事だった。
 そして、牢屋のニセモノの暗黒寺。
 彼の正体は、あしゅら男爵。
 そして、伊豆に溢れていた警官達の正体は彼の兵隊達。
 手の打ち様がない甲児をあざ笑い、あしゅらは去っていった。

 
 マジンガーの元へ向かうアフロダイA。
 しかし、楕円のボディの機械獣が行く手を阻む。
 
 そして、シローはあしゅら男爵に追い詰められていた。
 シローにパイルダーの在り処を問い詰めるあしゅら男爵。しかし、シローにもパイルダーの在り処などは分からない。あしゅらは納得しない。喋れないようにしてやってもいいと、シローを脅す。

「さあ、どうする?」
「しつこいねえ、その子は知らないって言ってるだろ」

 突如として現れた自分を制止する者。自分の肩に手を置いた彼女の正体をあしゅらは問う。

「お前にとっちゃ死神さ」

 飄々と言い放つ女。振り向こうとするあしゅらは、肩にかけられた手を振りほどこうとする。
 その瞬間、あしゅらの体に電流が流れた。
 



 
 崩れる牢屋の壁。
 正体不明の男達に驚く甲児。助けに来た二人の男は、檻自体を破壊し、脱出路をこじ開けた。
 外に出た三人を、鉄仮面の軍団が囲む。
 男達は動じない。外に控えていた先生の刀が薙ぎ倒し、男の一人が放った爆弾が吹き飛ばす。
 男達の強さに呆然としつつも、甲児はビルの屋上にシローとあしゅら男爵の姿を見る。
 その瞬間、甲児の行動が決定された。
 鉄仮面が落とした刀を拾うと、脱出した警察署へと走っていく。目指すは屋上、シロー、そしてあしゅら男爵。
 
「あしゅら男爵だけは許さない」

 祖父の敵を甲児は許さない。
 女の電撃は止まらない。
 ドクター・ヘルが恐れる唯一の存在。
 彼女こそが、彼の生涯の仇敵であり、唯一の愛弟子。
 
 
 
 十数年前。
 ある仮説を元に、ドクター・ヘルは十蔵の元を訪れた。一人の女を伴って。
 それはバードス島伝説。そこに記された巨人達の戦いの記憶。
 その巨人は、機械仕掛けの、ロボットの物だったのではないか?
 そう読んだ十蔵は、ヘルからの発掘調査の誘いを受けた。
 ギリシャエーゲ海の発掘は困難を極めた。
 そして、消えていく仲間達。
 しかし、諦めかけたとき、手がかりを姿を現す。
 海底の奥深くに隠れていた。
 そして、ドクター・ヘル達の前で明らかになる伝説のすべて。
 巨大な剣を持った巨人が割れる。溢れるすさまじい怨念。
 その奥には、歴史の影に埋もれてしまっていた巨人達。
 ドクター・ヘルは魅了された。そして、理解した。
 この機械獣を我が物にできれば、世界征服が可能になると。
 しかし、女は、彼の愛弟子はドクター・ヘルの野心を見透かしていた。
 そして、反逆。
 彼女の名は、錦織つばさ。
 あしゅら男爵の、産みの親。


 母からの責め苦に、逆らうあしゅら男爵。
 抗うあしゅらにトドメを刺そうとするつばさ。しかし、それを止める声。
 剣を持った甲児が近づいてくる。そして、あしゅらを狙った斬撃はかわされる。
 そして、つばさとあしゅらが離れた。
 
「馬鹿なことをしてくれたねえ」

 一瞬でも解放されれば打つ手はある。
 あしゅら男爵は、杖をかざし声を張り上げた。
 呼ばれた名は、ノナカーゴH2。
 空を飛ぶ紫の機械獣が、ライトに照らされた。
  












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